日本コカ・コーラ「こだわりレモンサワー“檸檬堂”を九州限定で導入した際のデジタル戦略」
日本コカ・コーラからはマーケティング本部 IMCiマーケティングマネジャーの渡辺幸恵氏が登壇。新商品のレモンサワー「檸檬堂」の取り組みについて講演した。
「日本コカ・コーラとしてアルコール飲料を出すのは初めての試み。度数ごとに3%、5%、7%とテイストで分けてラインナップを揃えました。SNSでの話題数と購買との関係についてのデータ分析の知見から、キャンペーン設計を行いました」。
具体的にはキャンペーン内容を次の3期に分けて実施したと渡辺氏。
「ティーザー期には発売前に飲める飲み比べセットを500名に配り、プレローンチ期にはテレビCM、YouTubeやイベントなどで発売への期待感の最大化を図りました。最後のローンチ期には、こだわりと味わいをメインに訴求する店頭含む全体施策を行いました」。
結果、ソーシャルメディアでの話題化に成功。キャンペーンを通して製品名や商品特性、味わいをきちんと伝えることができ、全国発売が決定したと述べた。
森ビル「シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略」
「SNSを見て来た」と言って来館する若者がとても多いという森美術館。45万人というSNSのフォロワー総数は美術館としては圧倒的なトップを誇る。集客のために必要なことについて森ビル 森美術館マーケティンググループ シニアエキスパート洞田貫晋一朗氏は次の4つをポイントに挙げた。
①ターゲットのことを意識する回数を増やす。
②自分たちのブランドを正しく理解する 。
③相手に「見てください」アピールばかりにならないようにする 。
④人間相手であることを意識してアナログ発想で考える。感覚で理解してもらえることを言う。
「美術館ではSNSを通して、展覧会の魅力をきちんと伝えていかなければなりません。そのタイムライン上では、情報の押し付けのようなアプローチにならないように、相手を意識して発信すること。この基本的な運用姿勢が結果的にフォロワーからの信頼獲得につながっていきます。大切なのは何をバズらせるかではなく、どのように気持ちを伝えるかです」(洞田貫氏)。
嘉穂無線ホールディングス「グッデイだからできる!データに基づく顧客体験の創造」
嘉穂無線ホールディングスが展開する「グッデイ」は、北部九州を中心に「家族でつくるいい一日」をモットーに65店舗を展開するホームセンター。年間1,600万人以上が店舗に訪れ、顧客の中心は40代と、この業態では若い。
BIツール「Tableau」を導入し、季節商品の動きはもちろんのこと「社内で抱える問題、業界全体が抱える悩み」を解決する糸口としてデータを使う試みをしていると、嘉穂無線ホールディングス マーケティング部長の岩橋 貴樹氏は述べた。
岩橋氏は、毎年3月に当たり前のように行っていた新生活プロモーションをデータ分析で見直し、「猫とあそぼうフェア」を開催。店頭における顧客体験を重視した手法で、売上を前年から13%アップさせた事例を紹介した。
ラクスル「ラクスルはなぜテレビCMに50億円使えたのかーテレビCMの効果分析に見る、成長企業のマーケティング思考とはー」
印刷、テレビCM、物流と3つのサービスを行うラクスル。旧来型の産業構造に切り込み、新たなプラットフォームを構築するのが同社の共通したビジネスモデルだ。
今回、ラクスルは80億円ほど調達してきた資金のうち50億円をテレビCMに投下。その理由と効果についてラクスル アドプラ事業本部 本部長補佐 手塚 裕亮氏が解説した。
手塚氏はブランディングの定義を純粋想起に設定。その実現のためにCPAを見ながらクリエイティブをA/Bテストによって磨き上げたという。その結果、認知は60%を獲得。5年間で売上15倍、新規獲得数は7倍の成果を挙げたと紹介した。
土屋鞄製造所「土屋鞄が実践する、自走できるブランディングとは?」
バッグや財布など日本製の革製品を製造している土屋鞄製造所。SNS活用の成功事例として語られることが多い同社は、ブランディングについて講演を行った。
2011年にはFacebookアカウントを開設し、ソーシャルメディアを早い段階から意識していたことが適応の鍵だったと土屋鞄製造所のデジタル戦略担当取締役 河野 貴伸氏は話す。
「ブランド戦略に必要なたったひとつのもの。それが時間です。デジタル活用で時間を生み出すことによって、ブランドコミュニケーションを構築できる時間と人のリソースを創出することが重要なのです」と河野氏。
また、自分の会社、商品のシンボリックエクスペリエンスは何なのかをしっかりと考えてお客さまに伝えてほしいと提案。強いブランドになるため、まず最初にやるべきこととして挙げた。