プログラマティック広告の取引において、現在はヘッダー入札が普及している。ヘッダー入札とはPMP、アドネットワーク、純広告などすべての市場を一元化して扱い、その中で最も高い価格で入札した相手に広告を販売する仕組みである。従来のウォーターフォール形式と比べて効率化がされ、より大きな収益が見込めるようになった。
その普及に伴い、多くのSSP事業者がヘッダー入札ソリューションを提供するようになったが、パブリッシャーにとっては各ソリューションの入札プロセスが不明瞭であるという問題が出てきた。そこでオープンソースのヘッダー入札テクノロジーを業界で広め、公平で効率的な収益化ソリューションの浸透を推進し、パブリッシャー、広告主、ユーザーにとって有益なエコシステムをつくることを目的にPrebid.orgを設立したのがルビコン・プロジェクトだ。このコミュニティには多くの企業、個人が参加している。
同社CEOのバレット氏は、「パブリッシャーは入札のプロセスがブラックボックスであっても、サービスを使わざるを得ない状況だった。そのため収益の最適化が阻害されるばかりか、無駄なコストを強いられていた。しかし、オープンソースにすることによって、その問題を解決することができる」と話す。
また、パブリッシャーがプログラマティック業務をコントロールでき、さらなる収益確保を行える支援ツール「DemandManager」を同社は開発。先述したオープンソースのPrebid上に構築されているため、サービスは透明性かつ柔軟性があり、100以上のエクスチェンジやSSPに接続できるという。
同社の日本のカントリーマネージャー、シエン・ズゥー氏は次のように述べている。「ヘッダービッディングが登場してパブリッシャーが再び広告在庫のコントロールを行えるようになったが、固有のサービスでは透明性が担保できないため非効率や利益相反という問題が起こりました。さらにオペレーションが複雑になるので、パブリッシャーは柔軟性や管理画面など機能面よりも短期的な導入容易さを選択せざるを得ない事態が発生していました。DemandManager を使用することにより、パブリッシャーのマネタイズ担当者は全容を視覚で捉えることが可能になり、複数のビッダーを使って収益成長の目標を策定し、完全な管理を容易に実現できます。Demand ManagerやオープンソースのPrebidコミュニティを利用することで、パブリッシャーはもはやトレードオフの関係に陥らずにすみます」。
ルビコン・プロジェクトのフィロソフィーは、「クライアントのために正しいことを行う」こととバレット氏。アドテクノロジー業界全体の問題でもある、透明性を担保するということを重視していると話した。