キーワードは「CROSS」と「CONNECT」 データ資産価値を高めるプラットフォーム化とは
アユダンテ主催の「Googleアナリティクス360&Googleマーケティングプラットフォーム『2019年アップデート総まとめと2020年活用に向けた展望』」セミナーの前半ではアユダンテの山浦氏が登壇し、Googleマーケティングプラットフォーム(以下、GMP)をビジネスの現場でいかに活用するのか、どうすればその機能を成果につなげることができるのか、実務的な視点で語った。
アユダンテはSEO対策を皮切りに、現在では企業のデジタルマーケティング支援事業全般を展開している。2009年からはGoogleアナリティクスの国内初のパートナーとして、13年からはGoogleアナリティクス360のセールスパートナーとしてマーケティングプラットフォームの導入・活用のコンサルティングにおいて最も長い歴史と実績を持っている。この経験から、プラットフォームのインプリは済んだものの、運用に課題を抱える企業が多いことを指摘し、その解消のための手法を解説した。
デジタルマーケティングの目的は、データを蓄積し、それらを背景に最適化した施策を行い、ビジネスの成果につなげることだ。山浦氏はそのすべてに関わるデータを「資産」と位置づけ、単なる効果測定のための道具ではなく、資産価値を高め運用によってビジネスを成長させていくことが大事だと話し、そのポイントを3つあげた。
まずは、データの資産価値を高めること。次に資産を運用する仕組みを構築すること。最後が実際に運用するフェーズだ。山浦氏は3つのポイント全体を通じたキーワードとして「CROSS(組み合わせる)」と「CONNECT(繋ぐ)」をあげた。
データの資産価値を高める「CROSS」とは、メディアやチャネル、デバイス、プラットフォームとオンライン、オフラインといった各レイヤーに蓄積したデータを「ユーザー軸」や「コンバージョン軸」で集計、計測し、統合して評価すること。
また、これらのデータは各レイヤーでGMPの各ツールを活用することで連携し、統合することも可能だ。これによって、各レイヤーで、例えばメディアであれば広告とオーガニックで分かれているようなジャンル毎のデータをユーザー軸に落とし込むことで、カスタマージャーニーの一部として評価することも可能となる。
「CONNECT」について山浦氏は、デジタルマーケティングにおいては大きく「AD」「WEBとAPP」「CRMや1st Party」と3つの領域でサイロ化されていると指摘。多くの企業で、それぞれの領域ごとに組織や予算、運用がなされており、そこで蓄積されるデータはバラバラだ。これを「CONNECT」することが重要となるが「ツールとしてのプラットフォーム上は繋ぐことができるようになっているものの、実際の運用には社内の調整などさまざまな障壁があり、なかなか進まないのが現実」(山浦氏)と話した。
山浦氏は各領域とGMPの各サービスを連動させ、広告からの流入、Webへの訪問、そこでのアクションあるいはオフラインのコンバージョンを経て、1stパーティーデータを取得し、分析の結果を最終的にWebの最適化や広告の最適化にデータを戻して活用のイメージを図示。その循環を血流に例え「体の隅々まで血液(データ)が流れるようになって初めて、企業全体のマーケティングがよりドライブできるようになる」と話した。
成熟したツールの機能を成果につなげるためには、「人と組織」もプラットフォーム化が必要
「資産運用の仕組み構築」については、Googleマーケティングプラットフォームを使いツールとデータを「CROSS」し「CONNECT」させ、全体像を意識して運用するプラットフォーム化について説明。またこのプラットフォーム化については、「人」と「組織」についても必要だと指摘した。「ツール側はかなり成熟している。インプリをしても成果につながらないのは人と組織に課題があることが多い」(山浦氏)。
山浦氏は、うまく運用できている組織では、規模の大小に関わらず導入したプラットフォームに合わせた組織を作り上げていることが多いと指摘。企業内の人材と組織のプラットフォーム化を進めるにあたって、重要となるポイントとして、スキルと組織を「CROSS」し「CONNECT」させることをあげた。これは、単純に一つの組織に統合することを指しているのではなく、社内でうまく連携する座組みを考え、実行することが重要だ。
仕組みの構築に関してはさらに、事業主、広告代理店、テックパートナーという社外との取り組みについての効果的な座組みについても言及。ここでは「個別媒体運用」「全体予算最適」のふたつの軸で考えることが大事だと指摘した。その座組みのモデルとして「完全インハウス」「運用アウトソース」を紹介した。
組織の座組みに関するまとめとして、山浦氏は「Unlock the Value(Data)」と「Transparency」を重要キーワードにあげた。
集計し、計測したデータには、広告主が運用アカウントとデータのオーナーシップを持ち、関係者だれもがアクセスできるようにしておくべきであること、さらに広告やテック、コンサルティングにかかる費用について、透明性の高い取引を行う必要があると話した。アユダンテでは、組織のプラットフォーム化についてのコンサルティングや、高度な知識や豊富な経験からくるインハウス化支援も行っている。
最後のポイントとなる「運用」については、「CROSS」し「CONNECT」されたデータの分析にマシンラーニング(ML)の活用を勧めた。そして、GMPの各ツールにはすでに随所にMLが搭載されているため、「MLにどれだけリアルタイムにボリューム感のあるデータを流し込むことができるか、その仕組み構築すれば、その恩恵が受けられる」(山浦氏)と話し、運用に至るまでのプラットフォーム化の重要性を指摘した。
ツールと組織のプラットフォーム化の指針「Digital Maturity(デジタル成熟度)」とは?
山浦氏は加えて、Googleとボストン コンサルティング グループ(BCG)の研究による企業のデジタルマーケティング化の成熟度を示す「Digital Maturity(デジタル成熟度)」の4段階の指標を紹介した。
「初期段階」、「発展段階」、「コネクティッド」、「マルチモーメント」と表現される各段階で、現状マルチモーメントに達している企業はごくわずかだ。成熟度の向上は企業に売上拡大とコスト削減をもたらす。その領域に達するためには「テクノロジー」と「組織」それぞれ3つの要因からなる6つのイネイブラー(成功要因)があると解説した。
ここでは、アユダンテの支援を受けてGoogleマーケティングプラットフォームを活用し、最も成熟した「マルチモーメント」を実現した富士フイルムやソフトバンクの事例も紹介した。
次世代のGoogleアナリティクス「アプリ+ウェブプロパティ」 その真価とは?
後半では、アユダンテの高田和資氏が登壇し、次世代のGoogleアナリティクスとも呼ばれている「App and Web property(アプリ+ウェブプロパティ)」について紹介した。今年、ベータ版がローンチされ、2020年にフルローンチを迎える予定のこの分析ソリューションについて解説。
さらにデモンストレーションを交えて活用法を提示した。「アプリ+ウェブプロパティ」はGoogleアナリティクスfor firebaseをベースにした新しいソリューションで、その機能も大きく進化している。その特徴のひとつは、その名が示す通りアプリ、ウェブそれぞれから集計したデータを「アプリ+ウェブプロパティ」内に格納し、「User ID」あるいは「Googleシグナル」でクロス集計できるようになった。加えて、今回の大きな変化はそれを分析する機能も追加されていることだ。
高田氏は、実際に同プロパティにデータが格納されている様子や、その計測、さらにはレポートの見方を、Googleアナリティクスの画面を用いたデモンストレーションを行った。また、変化にともなう陥りがちな誤りもケーススタディと合わせて紹介。この新たなソリューションを活用したいと思うデジタルマーケティング担当者にとって有用な講演となった。
GMPビジネスの急成長に伴いコンサルサービスと採用も強化
この日の講演からもわかるように、アユダンテは最新の長年のパートナーシップもあり、Googleマーケティングプラットフォームへの知見は高い。ツールの導入・設定支援だけでなく、企業のビジネス・マーケティング・組織課題に対応したコンサルティングにおいて顧客企業の成熟度に合わせたソリューションを用意している。
アユダンテではGMPコンサルティングビジネスの急成長に伴い、コンサルタントの採用も積極的に行っている。デジタルマーケティングを「マルチモーメント」の領域へ到達させ、事業の成長を共に目指すメンバーを求めている。
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