クボタが目指す「グローバル・メジャー・ブランド」国内外でファン獲得へ

広告で25年ぶりにタレント起用

2017年からブランドパートナーに長澤まさみを迎え、テレビCM、SNS、交通広告など幅広く展開。

グローバル化が進むなかで、3の国内への発信も重要視。2017年1月から計画を3段階に分け、「ブランド強化プロジェクト」をスタートさせた。

2017年からの2年間は、認知向上期というフェーズ1にあたる時期。若年層を主なターゲットとして社名の浸透や好感度の向上を図った。2019年からは、ファン獲得期とするフェーズ2に移行。一般生活者層に向け、同社の事業や存在意義の理解につながるメッセージを展開している。2021年から予定するフェーズ3は、現在検討中だ。

またこれに準じて、2017年から25年ぶりとなるブランドパートナーとして女優の長澤まさみを起用。「壁がある。だから、行く。」のスローガンをメッセージとした広告をテレビやSNSで展開している。このスローガンは「食・水・環境分野の課題解決に果敢にチャレンジする私たちの姿勢を込めた言葉」と解説する。当初は広告での発信を中心に使用していた同スローガンだったが、今では社内コミュニケーションの合言葉としての広がりも見せているという。

「国内ブランド強化プロジェクトは今後も継続展開していく予定。一連の取り組みによって、実施前と比べ、広告認知や事業に対する理解、好感度など主要なKPI指標は上昇基調にある」と手応えを口にした。

2020年は、創業130周年という節目。4については現在企画中で、「まだ発表こそできないが、関連部門が連携して長期ビジョンでの検討を進めている」と話した。

ドラマと連動した広報活動

ドラマ『下町ロケット』(TBS)には社員がエキストラとして参加。社内報でもその裏側やインタビュー、制作秘話などを紹介した。

同社はコミュニケーション活動への評価として、2019年に経済広報センターが主催する第35回「企業広報賞」で大賞を受賞している。

選考では、2018年にTBSで放映されたテレビドラマ『下町ロケット』を通じた、全社一体となった広報活動による日本農業の活性化への貢献が評価された。池井戸潤氏による原作小説の執筆時から協力し、ドラマでも自動運転農機の提供、技術指導、セリフ台本の監修をした。さらに1400人の社員が、早朝や休日にエキストラ出演もしている。「日本農業への活性化への貢献事業、自動運転農機といった最新のトレンドを、ドラマを介して訴求できた」と細谷氏は振り返る。

「自分たちの事業がドラマを通じて世間に認知され、社内ブランディングの観点からも士気が上がるなど、副次的効果も多く生まれた。報道機関向けの試乗実演会は、記者に実際に自動運転農機に乗ってもらうことでドラマと報道の連鎖をつくり出した。社内報で裏側を紹介することで社員がドラマと自社の関わりも共有できた」。

さらに、劇中に登場した自動運転トラクターを、CMで使用したりドラマ最終回翌日の全国紙朝刊の広告にも登場させたりと連動した企画も実現した。

2018年には第67回「日経広告賞」で大賞も受賞している。「一連の取り組みに嬉しい評価をいただいている。これからも情報発信に力を入れながら、社会から真に信頼される企業像をつくっていきたい」と語った。

クボタ 理事 コーポレート・コミュニケーション部長
細谷祥久(ほそたに・よしひさ)氏

1988年久保田鉄工(現クボタ)入社。広報室、東京本社総務部、人事労政部を経て、2003年人事部人事グループ長、2004年秘書広報部広報室長、2010年から現職。メディアリレーション、インターナルコミュニケーション、デジタルコミュニケーション(ウェブ・SNS)、コーポレートブランディングなどを統括。

 

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