こんにちは、小霜です。
12月20日に僕の新著が上梓されたのですが、僕が本を書くときに気を付けていることが一つあります。
それは、前作より薄くしないことです。
もし薄くなってるのを見て「小霜のヤツめ、そろそろネタが尽きてきたな」とか思われたら癪じゃないですか。
とは言えページ数が増えすぎると価格が上がっちゃう。
税込みで2千円未満には抑えたいので、いつもちょっと多めに書いて後から良い案配に調整するやり方をしてるんです。
ただ今回は、経営層に向けて広告制作の現場の問題から、ESG投資などの社会要請をどう顧客創造に繋げるかといった大所高所の視点まで、これからのマーケティングを全体的に見直す作業をやっているので、かなりボリューミーになっちゃったんです。
いろいろ削ったのですけど、それでも前作より数十ページは増えることに。
そこで宣伝会議編集部が繰り出した技が、紙質を薄くするというもの。
それによって価格が前作と変わらずいける、ということでオーそれはいいですね、ってなったのですが、届いた見本と前作を比べたら35ページも多いのにやや薄いんですよ。
だったら一所懸命削る必要なかったじゃんねえー!(「いだてん」田畑政治風)
「おっ、今度のはいつもより薄いぞ」とか思われるじゃんねえー!
というわけで、その怨嗟をアドタイ上で晴らそうというのがこの連載企画です。
削った箇所をここで披露していきますから、それと本書を付き合わせると、ディレクターズカット「完全版」が出来上がる。
ちょっと斬新でしょ?
まあ、削られる箇所には削られる理由があるわけでして、本旨と関係ない話だったりとかするわけです。
豆知識的なものとか、蛇足的なものとか。
いわば、チリメンジャコに混ざってるちっちゃいタコのようなものです。
でも、あのちっちゃいタコがあるとちょっと嬉しいじゃないですか。
タコはチリメンジャコの本旨からは遠いですよ?
ただあのタコがないとチリメンジャコはちょっと素っ気なくなると言いますか。
同様に、今作はやや素っ気なくなってないかな…という気がしてるんです。
このアドタイの記事からタコをまぶしていただけるとちょうどいいかんじになるんじゃないかと。
では、1回目は「はじめに」。
ここでは僕が本書を上梓しようと思い至った理由や、実際に社長とどういうメールのやり取りをしているのかなどを垣間見てもらいました。
削除したのは、
P.13
あ、ちなみにですが、法律上「社長」という呼称は存在しません。「社長」は会社を代表する人という意味の一般的な呼び方です。だから、会社によって今風に「CEO」とか「COO」とか呼んだって構いませんし、中国企業が主な取引先なら「総裁」がわかりやすいでしょうし、戦国武将ファンなら「お館様」と名乗ってもいい…かもしれません。
ただ、逆は感心しません。代表権のない人の肩書を「社長」とすると、取引先が誤解して損失を被ることがあります。そういうときには肩書を与えていた会社の責任が問われます(豆知識)。
マーケティングとは関係ない話ですよね。
しかし昨今はベンチャー系で、社長を雇って経営だけ任せ、代表権を与えないケースが増えてるそうです。
経営者が読んでいると思うとこういう豆知識も必要かな…ということで、当初は加えようとしてました。
こんなかんじで、次回は「第1章」「第2章」と続けていきます。
あと、もし本書についてのご質問・疑問点などあれば宣伝会議編集部までお寄せいただくと、この連載中に答えられる範囲でお答えしようかとも思います。
よろしくお願いします!
恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。
<目次>
はじめに
第一章 社長、まずはマーケティング部をなくしましょう
・マーケティング=価値の創造
・マーケティングの4P
・総力戦の時代
・マーケティング部を宣伝部に戻す
・貯めるべきもの3つ「直感力、共有知見、データ」
・忖度のない体質がマーケティング体質
第二章 「名物宣伝部長」はどこいった
・管轄外の責任を負わされる宣伝部長
・広告業界の構造的問題
・宣伝部とエージェンシーの深まる溝
・CMOに「4P」全部預けられるのか?
・社長と部長はパートナー
第三章 御社は「ミドル・ファネル」作れますか?
・ミドル・ファネルから作る
・外してならないファネルだけが外れてる
・トップ、ミドルのクリエイティブを寸断させない
・社長は「トータルCPA」を見る
・部門「間」がますます重要に
第四章 やっぱし事件は現場で起きている
・制作現場の実状
・戦略、メディア設計、クリエイティブの順に
・現場の忖度で得体の知れないものができあがる
・社長が「おかしい」と感じたら、何か起きている
第五章 「Vision」の本当の話をします
・時代変動の中で自分は何者か再点検
・Visionを間違うと正しいマーケティングはできない
・Visionの話(つづき)
・Values
・オレのCI
第六章 テクノロジー変わるマーケティング思想変えるビジネスモデル変える
・新たなマーケティング思想、カスタマーサクセス
・競合より顧客の動向を見て成功する
・広告という神話
・顧客を手放さないサブスクリプション
・商品は優れていても、ビジネスモデルで負けていないか
・テクノロジーが新しいビジネスモデルを閃かせる
第七章 不買運動が起きてます!
・SDGsはイケてる
・誰かを変えるCSR、自分を変えるCSV
・ESG投資で変わる企業の戦い方
・Belief Driven
・次世代の動き
・SDGsはこれからの参加資格
・IRで商品Promotionの土壌をつくる
第八章 社長、さっき言いかけたことですが
おわりに