編集の基本を学び、社内広報の改革へ

社員はなぜ読まない?

旧社報は表紙のみカラーで、社員が撮影した製品と顧客のツーショット写真を毎号使用。(左から)2012年2月号、3月号。

担当になって、まず自分たちがつくっている社内報をじっくりと見直しました。同時に、新しくつくり直すために何が必要かを考えました。しかし、そもそも社内報のつくり方を知らない僕には、どこから手をつけていいのかさっぱり分かりません。でも、毎月25日の、正社員とグループ社員それにOBを合わせて約1万8000人へ向けた配付を止められないので、しばらくは現状の制作フローを踏襲し、とにかく発行することを優先して仕事を始めました。

僕自身は仕事で販売店向けのニュースレターやPR誌を制作したことはありました。しかし、毎月発行する冊子をつくったことはなく、ましてや自分で取材して記事を書き、レイアウトするという仕事をしたことがありません。

現実に社内報制作の引き継ぎを受け仕事を始めると、毎月の締め切りを守りながら一定のクオリティを保って発行する大変さを思い知らされました。校了日近くになると、何かミスがないかとても不安になりました。しかし、これだけ神経を使う大変な業務にもかかわらず、仕事自体は評価されていないと実感しました。そのころ、僕が社内報担当になったと知った同期からは「社内報やるの?大変だね」と言葉をかけられ、その言い方に哀れみや同情を感じたものです。

さて、浮き彫りになった大きな課題は、制作・編集の立ち位置です。社内報が経営の意思を社員へ伝える重要なコミュニケーションツールであることは明確です。ただし、同時に、社員の目線で中身をつくらなければそっぽを向かれてしまいます。

日々締め切りに追われ、またモヤモヤしながら仕事を進めているある日、ふと「社内報は経営と社員とを結びつけることが役割じゃないか」と思いつきました。業務連絡や通達ではないので、社員はその中に書いてあることをすべて読まなくていい。ただ、ある見出しや記事が社員同士のコミュニケーションのきっかけとなり、経営と社員、また社員と社員を結びつける、つまり「つなぐ」ことが大事ではないかと。その時、おぼろげながらそう感じたのです。

旧社報に掲載していた四半期ごとの経営メッセージ。ベテランだけでなく若手も関心を持って読む記事にすることが課題だった(2013年12月号から)。

 

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