製品を変えずにヒットを生み出す! 「意味のイノベーション」とは?

ロウソクの“意味のイノベーション”とは?

ロウソクは、ガス灯や電球が世に登場する前は、生活に明かりという価値を提供する一大産業でした。

ですがロウソクが提供していた価値は、電球の登場によって取って代わられてしまいます。その後、ロウソクは斜陽産業になり市場は縮小しました。

1990年に入り、ロウソクは消費者の生活上の“意味”をリニューアルします。

これまでの「部屋を明るくする」という意味から「部屋を暗くして、食事のムードを演出する」「心が癒される」に意味を再定義したのです。

画像提供:123RF

“新しい意味”に最適化するかたちで、香りの立つアロマキャンドルなどの製品改良は行われたものの、相変わらずロウソクはロウソクです。基本的な製品の成り立ちが大きく変わったわけではありません。

これが意味のイノベーションです。

では、このような自社の製品にとっての“新しい意味”は、どのように見つけ出せばよいのでしょうか。

それは、新しい消費者行動に着目することが挙げられます。

・ロウソクの新しい使い方をしている人はいないか?
・ロウソクが新しいシーンで使われていないか?

使い方やシーンを、まずは見つけ出します。

そして、そこで感じられている価値は何か?

つまり、消費者にとっての“意味”は何かを明らかにするのです。

このように新しいシーンや使い方を探すときは、自社商品やカテゴリーだけでなく、その周辺の生活領域まで拡げて探すことも必要です。

これには前回紹介した「生活の14分類」が有効に活用することができます。

では、さらに自社及びその周辺の生活領域の新しいシーンや使い方を、素早く効率的に発見するにはどうしたらよいでしょうか。

家庭訪問をしてユーザーを観察すればよいでしょうか。InstagramやYouTubeなどのSNS投稿を分析すればよいでしょうか。

ただ、やみくもにリサーチを実施しても、不確実性が高い仮説しか導き出せません。時間や手間ばかりかかって、大した発見が無かったということになりかねません。その発見のためには、的確なリサーチデザインが必要となります。

リサーチデザインについては、また別の機会で紹介したいと思います。

次ページ 「新しいシーンや使い方から、消費者も意識していない“ほんとうの欲求”を読み取る」へ続く

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大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)
大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)

大手広告会社を経て、2002年デコムを創業。2006年に日本初のインサイトリサーチに関する書籍「図解やさしくわかるイ ンサイトマーケティング」を上梓する。株式会社デコムは、設立以来、一貫してインサイトリサーチによるアイデア開発を提供。近著に『「欲しい」の本質~人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方~』など。

大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)

大手広告会社を経て、2002年デコムを創業。2006年に日本初のインサイトリサーチに関する書籍「図解やさしくわかるイ ンサイトマーケティング」を上梓する。株式会社デコムは、設立以来、一貫してインサイトリサーチによるアイデア開発を提供。近著に『「欲しい」の本質~人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方~』など。

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