ブランド愛より、必要なのは「友情」?
アレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ氏の同僚、ジェニー・ローマニアック氏はブランドの愛情を考えるよりは、「友情」を考えるべきではないか、という提案をしています。ローマニアック氏は実際にコンサルティング会社のShining Consultingの商標でもある「Brand Friendship」に言及していますが、ここでは彼女が提起した愛情との対比による友情を考えてみましょう。
これまでブランド愛で説明してきたこととは違って、先ほどの篠原氏の「共感性」をブランドとの関係に置き換えるとブランドに対する友情のようなものになるといえます。この考え方はShining Consultingのものではありませんが、この関係をこれまでの愛との比較でまとめるとすると下記の表のようになります。
ブランド愛が顧客の経済価値を既存顧客だけに追い求めるのに対して、ブランドフレンドシップの考え方は単に身近な友人としての関係があるということだけではありません。
アレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ氏やジェニー・ローマニアック氏が主張する視点は、ロイヤルティの高さが問題なのではなく、ブランド自体の顧客への浸透度のほうが重要であり、経済価値はその広がりによって示されます。それは認知度と使用経験の広がりであり、そして「メンタルアベイラビリティ」と呼ばれる「購買機会」としての接点の幅広さが顧客の価値につながるわけです。
同時にメディア価値は、ロイヤリティが高いファン層のブランドに関するソーシャルメディアでの限定的な広がりやコミュニティの結びつきよりも、ULSAASで示されるような顧客のまわりにいる新規顧客を含む知人に口コミを促すようなブランド接点となる使用機会を持っていることが最終的に拡散を促すのです。
豪のアレンバーグ・バス研究所のブランドの成長に関する考え方は、これから市場が小さくなる日本でも有効でしょうか。また、前述のクリエイティブディレクターの篠原氏が2016年ごろ「ウケる」と感じていた「共感性」は、今後の人口減の日本においても有効でしょうか。その答は2020年以降の日本のマーケティングと顧客の動向にあると思います。是非、今後注目してみましょう。