1月23日、電通グループの海外本社である電通イージス・ネットワークが、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」を発表した。本予測では毎年2回改定と新規予測を行っており、今回は2019年・2020年予測の改定(前回予測は2019年6月発表)と、2021年の新規予測が行われた。
2019年の世界の広告費成長率は2.6%、総広告費は5,921億ドルと予測。全般的に堅調な成長は続くものの、先行き不透明な政治、経済状況が及ぼす消費活動への影響から、ドイツ、イタリア、スペインなどでマイナス成長となり、結果、世界の広告費成長率は前回予測の3.6%を2.6%(総広告費5,921億ドル)へと下方修正した。
国・地域別の成長率予測
日本の広告市場は、2020年には東京2020オリンピック・パラリンピックの開催等もあり、成長率は2019年を上回る2.0%と予測している。
デジタルは運用型広告を中心に引き続き二桁成長(12.5%)となり、とくにモバイル、オンライン動画広告、マス4媒体事業社等が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費(マス4媒体の広告費には含まれない)が成長を牽引する見通し。デジタル広告の成長に加えて、デジタル広告と従来型メディアとの組み合せによる広告施策やソリューションが拡大傾向にある。2021年は、前年の反動減は避けられないものの、成長率はプラス成長を維持する見通しだ。
媒体別では、世界各地で引き続きデジタルが広告市場成長を牽引している。デジタルが従来型メディアの再成長に貢献すると見ており、たとえば、音声アシスタントやアドレッサブルTV(インターネットTV端末等に視聴者特性に合わせて広告を個別配信するプログラマティック広告)などがテレビ広告の成長を後押ししている。従来メディアの成長率は、新聞が△7.1%、雑誌が△6.3%と厳しい状況が続くものの、テレビは0.6%、ラジオは1.7%とプラス成長に転じる見通し。この回復傾向は2021年も続くと見ている。
世界のデジタル広告費の成長率は、2019年に11.2%(前回予測は11.5%)、2020年に10.5%(同11.0%)と二桁成長が続き、2021年も9.5%(新規予測)と高い成長を維持する見通しだ。その主要因はオンライン動画広告とソーシャルメディア広告の成長であり、デバイスとしてはモバイルの貢献が大きく、デジタル広告市場成長の牽引役となっている。
2020年には世界の総広告費に占めるモバイル経由の広告比率が3割に迫り、2021年には3割を超えてテレビ広告の構成比を追い抜くと予測している。
媒体別成長率予測(全世界)