世界に後れを取る日本企業のDX 巻き返しのカギは高品質サービス+エコシステム構築にあり

日本でデジタルトランスフォーメーションが進まない理由

日本がDXで遅れを取っている理由としては、逆に言うと、製造業中心の生産管理ビジネスも、流通中心のサプライチェーン網もいまだに海外と比較すると、デジタルを主導とするビジネスとの競争による淘汰が進んでおらず、本気で取り組むような競争による「危機」が見えていないせいかもしれません。

それは、たとえばアメリカではAmazonやFacebookやGoogleの発展にともなって、旧来の出版社、新聞社、あるいは本屋や家電店などの流通がその競争に勝てずに倒産や閉店の憂き目にあっているような状況がすでに起こっていますが、そのような姿を日本では見ることは稀です。

また、お隣の中国では旧来のパパママショップのような伝統的小売店舗をアリババのようなデジタル企業が買収し、デジタルテクノロジーを取り入れることによって、まったく新しいエコシステムをつくり上げトランスフォームしていくようなドラスティックな状況が起きていますが、そうした光景も日本で見ることはありません。

DXとは詰まるところ、低成長の経済を打破するための選択肢です。そのような緊張感がない限りは積極的に進めることに二の足を踏む企業も多いのかもしれません。これが日本が遅れを取っている理由ともいえそうです。

またDXの範囲はこれまで数量化やデータ化が困難であった領域を拡大したところに意義があります。それは営業担当者の商談や交渉プロセスから、店舗での接客やサービス、コミュニケーションの取り方、店舗で顧客の行動などを含んでいます。トライアルやAmazon Goで進んでいるカメラを設置して顧客の行動を記録して分析するのも、モバイル決済を進めるのもその一環です。

しかしながら、日本は製造業でなし得たような精緻なプロセス管理がこのような領域で進んでいないようです。それはマルケト日本法人の社長を務めた福田康隆氏が、著書の『THE MODEL』の中で記した、アメリカ人から受けた日本のセールスに対するコメントで「日本人は(カンバン方式のように)生産管理は得意なのに、セールス活動管理(他のビジネス領域のプロセス管理)は得意ではない」という話が端的に示しています。

次ページ 「エコシステムの構築と「質の高いサービス」がもたらすDXが日本の未来か?」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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