世界に後れを取る日本企業のDX 巻き返しのカギは高品質サービス+エコシステム構築にあり

エコシステムの構築と「質の高いサービス」がもたらすDXが日本の未来か?

日本は世界的に見て「おもてなし」という言葉があるように、サービスが優れているという評価がありながら、なぜかホテルやレストラン、エアラインも世界的なサービスブランドはひとつもありません。これは日本のサービス自体が属人的で日本文化を前提としており、そのサービスの質が日本人以外のグローバルの人々に通用する標準化プロセス管理ができていないためかもしれません。

中国やアメリカのように幅広い文化や民族を抱える国は、生産だけでなくサービスの標準化技術に関しても積極的で、アメリカはグローバル進出に関してはスピードも速く展開できています。一方で中国はビジネスの進歩が遅れた中で、リープフロッグでDXが一気に進んだ消費社会となったのは、アリババのような新興テクノロジー企業が伝統的な製造業や流通業を、最先端のデジタルテクノロジーでトランスフォーメーションを進展させることができたためと考えられます。

そのように、進化しつつある中国のデジタルトランスフォーメーションの目指す最終段階は、ホリスティックと呼ばれる社会全体を包括するビジョンで、従業員を含むすべてのステークホルダーの満足度を含む大きな弾み車のようになっています。藤井保文氏、尾原和啓氏著の『アフターデジタル』で紹介されている、アリババのUX大学が教える顧客体験の5段階という考えに沿っていえば、日本はまだ第2段階までもいっていない状況です。

一方で、中国アリババやアメリカの流通やデジタルサービス企業が(Amazonは例外としても)簡単に日本で進出できていない理由は、上記のような体験を改善するためのデータのフィードバックのエコシステムがまだ確立していないためでもあります。それに加えて、日本人が求める「あたたかみのある」サービス基準が高いからで、単なる便利さを追求するだけでは不十分ということがあり、それが障壁となっているとも言われます。

ですが、今後人口が減り外国人の来訪者が増えていく上で、その志向が変わってくる可能性もあります。

今後、日本人が自らのサービスの質の高さを生かしながらデジタルテクノロジーによるエコシステムを構築し、新しい世界基準のプロセス管理と標準化を進めることができれば。世界最高レベルのサービスを実現できる可能性もあります。それを海外に向けて適用できる強みに転化できれば、それが新しいDXの価値になるのではないのでしょうか。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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