中学時代の車いす生活から、17歳で起業するまで(ゲスト:谷口怜央)【前編】

チェ・ゲバラの生き方に大きな影響を受けた

谷口:もちろん助けてくださる方もいたんですけど、最初のアクションが起こせない人がたくさんいるなと思ったんですよね。

権八:何て言うんでしたっけ、あまりに突然アクシデントが起きたときに異常なことが起きてないと思いたいと……正常性バイアスだ。人間は想定外のことが起きると固まっちゃって。

谷口:ビックリしちゃうんでしょうね。そもそも自分のことを考えていたら、まわりの人の挙動がおかしかったときにすぐにアクションを起こせないと思っていて。そこを変えたいなと思ったんですね。

澤本:下半身麻痺は治ったんですよね。凄いですね。

谷口:リハビリをものすごくしたんですけど、最初は別に治す気もあまりなかったんですね。世の中に対して不信感しかなくて。もう歩けなくていいと思ってたんですけど。

権八:それで引きこもっちゃったんでしょ?

谷口:そうです。そこから自分が体験した世の中の在り方を変えたいと思うようになったんです。でも急に思うわけじゃなくて、僕の場合はある偉人のドキュメンタリー番組を見て、火がついて、活動をするようになったんですけど。

権八:ある偉人。それそんなにもったいつけて言わなくても(笑)。

谷口:チェ・ゲバラに憧れてまして。彼のドキュメンタリー番組を初めて見たんです。彼はアルゼンチン人の医者ですが、世の中の貧困、医術では変えられない世の中の現状を変えようと戦い続けた人。その人に憧れて、自分もそういう風になりたいと思ったんです。身近なことだけじゃなく、世の中全体の課題を変えたいと思って行動するようになりました。

権八:ここまででも凄いと思っちゃうんですけど、まだここから凄い話が続くんですよ。チェ・ゲバラのドキュメンタリーもお父さんが見せてくれたんでしょ? いいお父さんだよね。いきなり、おまえちょっと見ろと。家で腐って引きこもってないで見てみろと。

谷口:どういう意図があったのか分からないんですけど、見せてもらって。そこから何度も何度も繰り返し見ていましたね。

権八:それでリハビリを頑張ろうとなったわけですか?

谷口:そうです。それから半年ぐらいリハビリをして歩けるようになりました。そこからはやりたいことだらけだったので、とにかく僕はもうチェ・ゲバラだ、生まれ変わりなんだという気分で、彼がやろうとしたことを全部やろうと思ったんですね。それで下半身麻痺が治った翌年の高1の夏休みを使って、1か月間、セネガルというアフリカの国に行って、貧困を体感して、現状を変えにいこうとしてましたね。

権八:なぜアフリカに行こうと思ったんですか?

谷口:彼が晩年にキューバで革命を成功した後にアフリカでも革命を起こそうとしたんです。そこで失敗してキューバに帰った経緯があって、アフリカに自分も行きたい、アフリカで何かを起こしたいという思いが凄くあったんです。

権八:凄いね。ゲバラがやり残した、コンゴで革命できなかったことを俺がやると。

谷口:はい。

権八:笑わずに「はい」って、凄いですよ。何のツテもなく、エージェントも通さずに連絡したんでしょ?

谷口:そうですね。ネットでひたすら現地で受け入れてくれる人を探して、いろいろ探っていったら日本の方にいきついて。その方から現地の方を紹介していただいて、1カ月間ホームステイをして。ボランティアはしたくなかったんです。とにかく彼らの生活を見て、感じて、何かできることを探ろうと思ったので、ただ1カ月あっちで生活をしていたというだけでした。

澤本:へー、それでどういうことに気が付いたんですか?

次ページ 「高校を休学してITベンチャーにインターンシップへ」へ続く

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