20歳の起業家が考える日本の働き方の未来(ゲスト:谷口怜央)【後編】

達成したいことを考えると「時間が足りない」

谷口:簡単な評価はしてますね。定量的なものと、定性的なものと。

澤本:それを積み上げていって、働く側の人がこういう人だというのをみなさんの中で把握して、仕事が来たら、この仕事の内容に合ってる人たちに表示すると。

谷口:おっしゃる通りです。ここのデータがまだまだなところで、マッチングの数自体がそんなに多くないんですね。月間で数千件なんですよ。なので、ここ自体がまだまだ粒度の荒いデータなんですけど、回を重ねるほど、その人に本当に適した仕事が正しい評価のもとでマッチングされていくと思ってます。

澤本:ということは、働く側の人からすると、表示された仕事は自分に向いていると思っていいということ?

谷口:そうです。そこが操作されていると誰も感じないような設計をしてます。

権八:具体的には今はどういうサービス業があるんですか?

谷口:飲食業のホール、接客、皿洗いもあれば、デリバリー、宅配、物流倉庫でのピッキング、コールセンター、コンビニなどでもご利用いただいています。

澤本:目指してらっしゃるのは「1日だけ働きたい」じゃなくて、「1日1日仕事が違う」という職業をつくるということでしょ?

谷口:僕らのユーザーさんは1回だけ働いて、二度と働かないかというとそうじゃないんですよ。最初からそうなると思ってましたが、8割ぐらいの方がリピートされるんですね。じゃあ直接その会社に入るかというと、入らないんです。あくまでデイワークサービスに属している状態のほうがいいよね、というのがちょっとずつユーザーさんには浸透してきているかなと思います。

澤本:それは本当に新しい形だね。

権八:そうですね。急に下世話な話をしちゃうんですけど、17歳で起業して、もっと遊びたいとか思わないのかな?僕は大学4年、22歳ぐらいまでフラフラしてましたからね。谷口くんはまだまだ若いのに「自分には時間がないんだ」と言うわけですよ。「成し遂げようとしていることを考えると、今から焦ってます」って。

谷口:若い起業家さんはみんなそうだと思うんですけど、いかに自分が力不足かを体感するんですよね。戦ってる相手は年齢関係ないので、経験がないというのは言い訳になってくる。となると、もっと力をつけて、何よりも早く事業を軌道に乗せたいと思いますね。

澤本:自分の未来設計をしたときに、デイワークの先にこういうことを実現していきたいというビジョンはいくつかあるんですか?

谷口:そうですね。事業的な軸でいうと、デイワークはあくまで人の受け皿と思ってるんです。仕事をするうえでの受け皿。人が仕事をしなくてもいいようにする、というのはまた別方向から必要と思ってるので、ロボティクス、人工知能の分割などには興味がありますね。人間の生産性を上げることと、そこから漏れた人、その仕事をしていた人たちの受け皿になるようなデイワークサービス、両軸でやっていきたいと思ってます。

澤本:それはさっきおっしゃっていた、「大目標としての人間の生活に余裕をつくりたい」というところから全部逆算して。

谷口:そうです。

澤本:凄いな。人生、逆算あまりしたことないな。

権八:あと面白いと思うのは「余裕が大事だ」と何で思ったんだろうね。そこに完全にフォーカスしてるじゃない。それで振り切ろうとしてるじゃない。

谷口:それもチェ・ゲバラから来てるものがあって。彼はキューバ革命を成功させた後にキューバのナンバー2になるんですね。そんな立場の人ならそれだけやっていればいいじゃないですか。でも休日は農業だったり、国民と一緒に仕事をしてたんですよ。

その彼の生き生きとした生き方は余裕があるなと僕には映って。時間的な余裕だったり。体力的な余裕よりも、もっと精神的な余裕。何か、誰かのためになってると感じられる精神的な余裕のほうが重要だなと思うようになったんですね。そこから来てると思います。

権八:ゲバラのいろいろな映画、ドキュメンタリーありますけど、あまり見たことなくて。これを機に見てみたいですね。

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