位置×属性で顧客理解 商業施設としての羽田空港をとらえるには

NTTドコモは11月28日、東京・千代田区で「商業施設や店舗で顧客体験を高めるための位置情報活用セミナー」を開催した。
あらゆるモノ、サービスがデジタルでつながる中、顧客理解に位置情報を活用している先進的な企業や有識者が登壇。顧客理解の重要性や、顧客を理解するための位置情報活用について最新事例を交えて解説した。

顧客理解がマーケティングの鍵
デジタルによる数値が信頼に

セミナー冒頭では、日本サブウェイ社長の角田淳氏が登壇し、顧客理解の重要性について講演した。全世界に約4万店舗を展開している同社では、顧客理解に努めようと、CMOも自ら店舗に立ち、直接顧客に相対して施策の有効性を確かめているという。デジタルは顧客理解において欠かせないツールになっており、共感の輪を広げることを大切にした施策を講じていると述べた。

第2部は有識者のクロサカタツヤ氏が位置情報の活用について講演。
「実空間は必ずしも1人ではなく、その場や体験を共有できるグループがあり得るため、『個人』だけでなく『人々』という視点が必要。現在、デジタルによって連続的に全数調査が可能になった。『モバイル空間統計Ⓡ(以下、モバ空)』のデータを使って町の様子を知り、店舗の最適化を図り、ユーザーの目線から価値や便益を考えてほしい」と語った。

続いて、ドコモ・インサイトマーケティングの斧田佳純氏が登壇し、「モバ空」を紹介した。NTTドコモのモバ空は、いつ、どんな人がどこからどこへ動いたのかがわかる新たな人口統計で、サンプルサイズはドコモ契約者国内7800万台と訪日外国人のローミングデータ900万台(2018年度)。

訪日外国人データも含めサンプルサイズの大きさが圧倒的な信頼につながっているという。斧田氏はモバ空の活用例として、①商圏分析、②店舗開発と販促支援、③防災計画や街づくりの3点を挙げた。「位置情報と属性情報を掛け合わせたデータを活用すれば、顧客の購買行動につなげる施策に生かすことができる。プライバシーの保護などを遵守しながらも、顧客企業がチャレンジしたいことに合わせ、今後もサービスを進化させていきたい」(斧田氏)。

最後に、商業やパブリック空間などの調査・企画、デザイン・運営を手掛ける丹青社の菅波紀宏氏と髙橋亜由美氏が登壇し、ドコモとの協業や事例を解説した。髙橋氏は、モバ空のメリットを「ひとつのデータソースから様々な角度の分析ができること」と説明し、羽田空港の事例を挙げた。

空港ビル全体にいる人の属性調査として、就業者、航空旅客、訪問者の比率や年齢性別、出身地、さらに滞在時間や直前滞在地などの調査を行った。空港ビルの商業計画やプロモーション戦略における、マーケットの把握につながったという。一例として、インバウンド・アウトバウンド比率を知ることで、時間帯により大型ビジョンの広告を切り替えるなど、より効果的なプロモーションにつなげられると説明。「マーケットや行動特性を数値として可視化することでアウトプットへの納得感が深まる」と話した。

※モバイル空間統計は、株式会社NTTドコモの登録商標です。


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