パーパスの「定義」と「具体化」という2つのフェーズでインサイトは活用できる
パーパス・ブランディングを成功させるためには、以下の2つが実現されている必要があります。
①消費者のみならず、社員、取引先、投資家などの関係者、つまり社会が求めているが今、提供されていない「未充足の社会価値」を存在意義の中心に据えていること
②商品、プロモーションを含むすべてのブランド体験が「押し込み/説得」ではなく「惹きつけ/共感」によって購買・使用・推奨行動などを生み出していること
目的(=パーパス)は正しい、しかし打ち手がズレている例として先ほど省エネルックについて触れました。それは①が正しかったとしても、②がズレてしまったのです。
この①②に共通しているテーマが、インサイトです。
パーパスの設定が、社会においての「未充足のインサイト」に応えようとするものであるか。それが成された上で、ブランドが提供する体験が、消費者のインサイトを的確にとらえているか。インサイトが重要なカギを握っていることがわかります。
表面的ではない消費者理解。すなわちインサイトを掘り下げること。それが、一方的な説得による押し込みではなく、自然に惹きつけられるような共感を呼ぶ打ち手を産み出すヒントになります。
ターゲットの琴線に触れて共感してもらうためには、“小手先の消費者理解”は通用しないのです。
ブランドパーパスを確実に消費者の心に届くものにするには、その消費者自身も自覚していない「ほんとうの欲求」を見つけることが欠かせません。それができて初めて、社会的に意義あるパーパスを定義することができ、スベることなく成功する施策を発想することができるのです。
消費者理解、インサイトの発見のためには、著書でも紹介しています、ターゲットとなる人の「お気に入り行動」からのインサイト4要素を明らかにすることが必要となります。考え方のフレーム、リサーチ技法などを深堀したい方はぜひ『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』をお手に取ってみてください!
書籍案内
新刊『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』
(2020年1月10日発売予定)
チャンスは常に人々の「隠れ不満」の中にある。いま「ほんとうに欲しいもの」は、消費者本人も自覚できていません。社会が成熟した現代に重要なのは、「本人も無自覚な不満」を理解することです。本書では、この「無自覚な不満」を起点にして、「ほんとうに欲しいもの」を見つけるシンプルなフレームワークを紹介します。