クラウド上での人材マッチングサービスを手がけるクラウドワークスは3月5日、テレワークに関する勉強会を開催。新型コロナウイルス対策のためテレワークを始める企業が多い中、導入のポイントを解説した。
同社によると、テレワーク導入のために確認すべきポイントは以下の6つ。
➀社内で使っているコミュニケーションツール
②テレワーク中のコミュニケーション頻度をどのくらいにするか
③企業側の緊急連絡先・稼働報告先
④企業業側の稼働時間帯(コアタイムなど)
⑤従業員の稼働時間帯
⑥従業員の稼働開始・休憩・終了の連絡方法
同社は新型コロナウイルスの発生後、マッチングサービス「クラウドテック」の利用企業292社に対して、感染拡大対策の実施状況を調査。結果、「実施」は52.1%で「検討中」は38.7%と90%以上の企業が対策を考えていることが分かった。「実施」の内容としては、テレワークや時差出勤が挙がった。
テレワークできない理由としては、「自宅での作業環境がない」や「個人のスキルの問題」などの声があり、漠然とした不安や間違った認識があることも分かった。
執行役員の中山恵太氏は「疫病や災害に対応するには、企業と働き手間での信頼関係や、働き方改革へのトライと工夫が求められている」と話した。
パネルディスカッションには、約5年前からテレワークを取り入れているアトラエのwevox プロジェクトリーダー 森山雄貴氏と、新型コロナウイルスの広まりを受けて、本格的にテレワークを導入したアソビュー取締役執行役員COOの宮本武尊氏が登壇。
森山氏によると、テレワークに向いているのは、明確に業務内容が決まっている人や段階。「例えば企画を立てる段階では、ホワイトボードに絵を描いたりしながら他の従業員と脳内にあるイメージを共有していくので、対面のコミュニケーションが必要になることもあります」と話す。そのためアトラエでは、現場の従業員が自ら出社か在宅かを選んで勤務できる体制を整えている。
同じく「テレワークでは、マーケティング部門など企画業務の多い部門の生産性が上がらなかった」という宮本氏。そのため、対象の従業員を一度出社させて打ち合わせの場を設け、その後再び在宅勤務に戻す対策をとった。その結果、オンラインのコミュニケーションも円滑になり生産性が向上したという。
このように、対面のコミュニケーションでしか得られない情報や空気感を、オンライン上でいかに得るか、は課題だ。森山氏は「従業員へのアンケートで、“ほめる”や“感謝する”といったささいな行為の大切さに気が付いたんです。そこで、2週間に1度、オンライン上で従業員同士がほめ合う機会をつくりました」と話す。一方、アソビューではslackやボイスチャットを使って、「ちょっといいですか」と気軽に声をかけられるような環境を整備している。
テレワークにおける失敗は、エンゲージメント率が下がって組織がワンチームではなくなること。森山氏は「従業員が感情や働きがいを失っていないかどうか、企業側が注意を向け、チューニングをしていくことが重要になる」と説明した。
勉強会を主催したクラウドワークスは、テレワークを基本とした「働く」に関する事業を8年間運営し、自社でもフルリモート・フルフレックス体制を整備している。新型コロナウイルスの発生後は、1月26日に全従業員向けフルリモート制度の活用を推奨。2月17日から原則在宅勤務、25日からは在宅勤務推奨に切り替えた。