② 無表情を笑顔に変える
オンラインでは話し手の無表情が目立ってしまいがちです。リアルでは聴き手から距離があるので、話し手の表情はそれほど見えません。しかしオンラインではカメラが表情にズームアップすると、途端に表情がわかってしまうのです。普段の3割増の笑顔で、丁度良く見えます。
「でも緊張して笑えない……」という方には、本番直前にやれば必ず笑顔になれる方法があります。
・話す前に、両方の口角を人差し指でぐっと持ち上げる
・指をそっと外してそのままの状態を保つ
口角を上げれば必ず笑顔に見えます。冒頭だけでも笑顔で出てみてください。
身振り手振りの調節も必要です。リアル会見では、大きく腕を広げたり舞台を歩き回ったりする表現が効果的です。しかしオンラインの聴き手は、パソコンやスマホの小さな画面で見ています。大きな動きは騒がしく見え、ムダな情報になります。手振りを中心に使って話すと良いでしょう。
③ 環境整備と話し手のコンディションに注意
防音がしっかりした外部会場で行うことが多いリアルイベントとは違い、オンラインセミナーでは社内のオフィスを使うことが多いもの。収録でも中継でも、ノイズが入らないような配慮が必要です。たまたま通りかかった社員の声、あるいは街頭から流れてきたBGMなどが入り込むと、話し手も聴き手も集中力が途切れてしまいます。
また、記者会見などでよくあるのが、緊張のためか口の中が乾いている状態で話してしまう場面。乾いた音をマイクが繰り返し拾うと、聴き手は気になってしまいます。
緊張していると呼吸が短くなったり、いつも以上に発汗したりして、脱水症状になりやすいものです。話し手は話す前に十分な水分補給をし、場合によってはオンライン会見中も遠慮なく水分を取ることが必要です。
最後に、無料で公開する会見やセミナーの場合に、収録した動画の取り扱いも決める必要があります。ある会社では動画の再利用や拡散を禁止、動画のURLも非公開扱いでした。
一方でソフトバンクのように会見動画はオープンにして、拡散して訴求力向上を狙う会社もあります。自分たちは、どちらの方法で行うのかあらかじめ決めておくとよいでしょう。
このようにオンラインのプレゼンは、リアルとは異なる配慮が必要になります。プラス面とマイナス面を考えて取り入れることで、訴求力を上げていきたいですね。
【書籍案内】
『緊張して話せるのは才能である』 永井千佳著
大事なプレゼンの前に読みたい、緊張の取り扱い説明書!
トップ広報プレゼン・コンサルタント
永井千佳(ながい・ちか)
ウォンツアンドバリュー取締役。経営者がリーダーシップを発揮して会社の経営を変えるためのプレゼンテーション・コンサルティングを提供している。主な著書に『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)など。