映画を通じて、「広告は面白い」と伝えたい 澤本嘉光×浜崎慎治

浜崎監督に当て書きした脚本

—最終的に脚本になったのはいつ頃?

澤本:2018年ぐらいかな。浜崎さんに頼んでから最終的に脚本を仕上げました。

浜崎:僕、結構待ちましたよ(笑)。一度、打ち合わせさせてもらって、「澤本さんが年末に書くので、年明けには脚本があがると思います」と言われたんですが、2月、3月になっても来なくて、おかしいな、聞き間違えたかな、あれ、映画やるって嘘だったのかなと(笑)。その後ようやく脚本があがってきたと思ったら、200ページ以上ある4時間大作で。一部、二部で分けるのかなと思ったら、それを何とか90分でやって欲しいという話でした。そこからスタッフみんなで「こうしたほうがいいんじゃないか」と意見を出していきました。

—どんどん書き足していったらいつの間にか200ページ以上に!

澤本:そうです。それが半分になったことでものすごい量の小ネタが死んでしまいました(笑)。

浜崎:供養してあげなきゃいけないぐらいのすごい量です (笑)。でも、いつかここで考えた小ネタはCMで生かせるかもしれませんね。

澤本:脚本が進んだのは浜崎くんが監督を引き受けてくれると決まって書きやすくなったからです。以前に一緒に仕事をしていたので、こう書いたら浜崎さんはこうやってくれるんだろうなと思い描きながら書いていきました。前回の永井聡監督に続き、今回も監督あて書きですね

浜崎:そのせいか、僕は読みやすかったです。わざわざ聞くこともなく、こういうことがやりたいんだなと大体わかりました。たぶん澤本さんの脚本は、日本映画の脚本家の方々が描くのとは種類が違って独特なんです。脚本にテンポがある。コメディの間合いが普段仕事をご一緒した時の澤本さんの間合いで、リズムがあって、しかも編集されている。

だから、「わかる、ここ笑えるね」と映像がすぐに浮かぶんですね。演出側が一番心配なのは映像化したときに面白くなるかということだけど、澤本さんの脚本は読むだけで面白い。そもそもの話、澤本さんのCMの企画もいつもそうで、企画コンテがものすごいよくできているから、このままでも十分に面白いというものが多いですよね。ただ、そのぶん映像化して役者さんが参加することで変わることがあるから怖いところはありましたが。

次ページ「CMで鍛えたことが映画で活きた」へ続く

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