日本流DtoCが本命に 2020年、ECシフトが急進

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日本は2019年、「店舗減少時代」に入った。結果、従来確保できていた棚から外されてしまうリスクが増してきている。さらに2020年に入り、コロナショックによる「巣籠もり消費」拡大が進む中、ネット通販チャネルにおいて、メーカー自らECシフトが急務となってきている。

高木 修氏

株式会社いつも. デジタルソリューション 事業部 執行役員
毎年アメリカ視察を繰り返しながら、日米のDtoC動向を踏まえて、メーカー・ブランドの「日本流DtoC」参入・事業拡大をサポートしている。

 

存在感を強める「デジタル商品棚」

本稿の執筆段階では、コロナウイルスがまだ収束の兆しを見せず、各社が感染拡大リスクの混乱に対応している状況だ。今後はさまざまな経済活動に影響が出てくることは避けられないが、「巣籠もり消費」によりECシフトの動向は調査からも見えてきている。

当社がコロナショック直後に「買い物の変化」を約1000人に対してネット調査したところ、実店舗に行く回数を減らした人が32%、一方ネットショッピング利用を増やした人は、19%で、早くもECシフトの動きが確認できている。

これは、この動きの中ですべての企業にとって重要テーマは「デジタルシェルフ(ネット上の商品棚)」の露出シェアの確保に変わったことである。

そうでなくても日本の消費モデルは大きな転換点を迎えている。代表的な例がコンビニ。ここ40年間、店舗は増加していたが2019年に初めて減少に転じた。単なる経済や商品の成熟という話ではなく、消費の90%以上を占める実店舗の「棚が減る」トレンドになったのだ。仮に日本の小売販売額が横ばい傾向が続き、店舗数が減るのなら、買い物はEコマースを中心とした「デジタルの棚」にシフトする。

メーカーが日本においてEC直販を早期に拡大させるには、国内EC市場でアプリ中心に顧客を囲い込む、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピング・PayPayモールといったメガECプラットフォームの活用は必須である。

 

約6割を占める3大モールの市場シェア

国内におけるEC市場は約10兆円規模で、「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング・PayPayモール」の3大プラットフォームの流通額は推計で6兆円規模に達している。

国内のECユーザーの動向を見ると、ECプラットフォームの重要性はより鮮明になる。たとえば、ヴァリューズ社が調査した「サイト訪問者数トップ20」では、「Amazon」や「楽天市場」、Yahoo!グループのサービスが軒並み上位にランクインした。また、「アプリ利用者数トップ20」でも同様だ。

こうした状況をふまえれば、実店舗を中心に商品を販売しているメーカーも、ECプラットフォームの「お客を集める力」は無視できないはずだ。

そもそも実店舗とECプラットフォームでは売れ筋商品が大きく異なるため、実店舗で認知度や販売シェアが高いメーカーであっても、直ちにECでシェアを獲得できるとは限らない。それはヘアケアジャンルの売れ行きトップ10をドラッグストアとAmazon.co.jpで比べてみれば、一目瞭然である。

翻せば、実店舗で強いメーカーにとってECはさらにシェアを広げる余地がある。もしくは、ECが等閑視を続ければ、実店舗の力が弱まるにつれ、全体の売り上げが落ちてしまう可能性が高いとも言える。

 

3大プラットフォームの活用ポイント

では、「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング・PayPayモール」で売り上げを伸ばすポイントについて、プラットフォームごとの客層やビジネスの定石を解説しよう。

まず「楽天市場」の特徴は、オンラインショッピングに比較的慣れているユーザーが多いこと。セールやポイント還元を好む客層が一定数いるため、買い物を楽しんでもらえるようなイベントや販促企画を行うことが重要。売り上げを伸ばしやすい大型セールを中心に、検索最適化や広告、ポイント施策、割引などで新規顧客を獲得し、リピート注文につなげたい。

商品ページのデザインやレイアウトの自由度がほかのプラットフォームよりも高いことも特徴だ。結果、メーカーが独自の世界観やブランドイメージを保ったまま公式店を運営できる。高単価商品を値引きせずに販売し、メルマガ登録施策などを通じてリピート顧客化を実現しているブランドもある。

楽天市場は出店者も多いため、売上を伸ばすにはページの作り込みや販促施策、顧客対応、物流などにおいて、実績上位店舗と同等以上の施策を打つ必要がある。メーカーとして「レビュー(評価)」も商品改善に活用したり、直接得られるデータ活用も重要テーマだ。

次にAmazon。近年、セラー(販売者)として登録したメーカーがブランディングの場としてAmazonを活用する動きが活発化している。商品ページのレイアウト変更の自由度が高まってきたことを受け、商品写真や商品説明コンテンツを充実させ、商品の魅力を利用者にきちんと伝えようとするセラーが増加傾向にある。

自社商品の認知度を高めるためにAmazonのターゲティング広告を活用するセラーも少なくない。よく使われる広告の1つが検索連動型の「スポンサープロダクト広告」。後発のセラーが、検索結果画面やライバル企業の商品ページに自社商品の広告を表示させ、認知向上と顧客獲得を図る動きも見られる。

ただ、検索連動型広告の運用で効果を高めるにはキーワードの選定や単価調整などでハイレベルなノウハウが求められので、戦略をしっかり練ってプロレベルの広告運用を行う必要がある。

Amazonを活用する上で忘れてはいけないのがレビューの蓄積。購入検討者にとって、レビューは意思決定の重要な要素。レビューを資産と捉え、高評価のレビューが溜まるような店舗運営を心がけたい。

株式会社いつも. 取締役副社長 望月智之氏の著書「2025年、人は買い物をしなくなる」〜次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃〜の中で、消費とECの近未来を予測しています。

そして、2020年に最大の注目株になりそうなのが、2019年秋にオープンした「PayPayモール」だ。厳選された有力ブランド約600店舗が出店したことを皮切りに、昨年12月には「ZOZOTWON」経由で1100種類のブランドが販売を開始するなど、取扱商品数を急速に伸ばしている。

「PayPayモール」を運営しているヤフーはブランド誘致を積極的に行うとともに、テレビCMなどマス広告も実施して販促を強化している。

さらに、「ZOZOTOWNPayPayモール店」で100億円分のポイント還元セールなど、大々的なプロモーションも実施し、出店者の売上拡大を積極的にサポートしている。ソフトバンクグループ傘下に加わったLINEとの相乗効果にも注目しておきたい。

2020年に入り、消費構造の変化・ECシフトが急加速する気配がでている。小売の棚が減る中で、メーカーEC直販モデル(DtoC)対応が喫緊の経営課題となり、できるところから実行に移す必要がある。当社は、日本のEC市場に合わせた「日本流DtoC」を持ってメーカーEC直販をサポートしていく。

[速報・日本流DtoC参入モデルレポート]進呈中
10年にわたるメーカーEC支援を行いながら「デジタルシェルフ」「日本流DtoC」を提唱
株式会社いつも.HPにてご確認ください。
URL:https://itsumo365.co.jp/

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