■VIP用招待状
野球ファン以外も楽しめる「野球観戦のお供」
ビジネスパートナーや顧客などに対して発送する招待状のデザインを制作するのは、入社三年目の太田早紀氏。2019年に実施された、楽天グループと楽天野球団が主催するプロ野球パ・リーグ公式戦「楽天スーパーナイター」への招待状は、太田氏のアイデアで「野球カード」をモチーフにした、ユニークなデザインとなった。
「楽天のお客様やビジネスパートナーの方々の中には、野球自体にそこまで詳しくない方もいらっしゃると思ったので、『幅広い方に、野球観戦を楽しんでもらうためにはどうしたらいいだろう?』と考えました。野球観戦のお供に、話題にできるような選手の情報があったらいいと思って、『野球カード』をモチーフにした選手の情報を招待状に同封しました」と太田氏。
一目で「楽天」とわかる、ブランドカラーのレッドがカードにも使用されている。制作の過程では、マネージャーの河上氏と定期的なミーティングを重ねたが、「河上さんからの指摘を通じて、フォントや色の配分、微妙なロゴの大きさなどの調整によって“楽天らしさ”を出すことを学んでいった」(太田氏)。
このように、デザインラボ内で日々ディスカッションされている楽天ならではのデザインの技術や、“楽天らしさ”の表現が、ブランドアセットとして積みあがっているのだ。週2回、定期的に開催されるブランドチェックのミーティングでは、デザインラボのメンバーにブランド管理のメンバーも加えて、ブランドに関するデザインのディスカッションを行っている。デザインラボ内に蓄積されている知識は、社内にも拡張されていく。
他、太田氏はクレジットカードの券面デザインなども担当するが、「これまでのデザインに縛られすぎず、新しい表現の挑戦をしていきたい」と語る。
本質的なデザインの力を追求、事業の枠を超えた発信力を携えて
「事業部からオーダーを受けてデザインを行うだけではなく、デザインラボ発信でブランド価値を高めるための取り組みや挑戦をしていきたい」と語る河上氏。
河上氏は個人的に社内のSDGsの取り組みに関心を持ち、イベントのアートディレクションやコンテンツ部分への提案も行なっているというが、「デザインラボのメンバーが、何かあったときに社内でカジュアルに相談を受けられるような存在でいたいと思っています。デザインは、ロゴなどのブランドアセットの制作に限らず、ブランドと生活者を結び、距離を近づけられる力を持っているので、それを追求していきたい」と河上氏。
楽天オリジナルのフォント制作も、デザインの力で企業ブランドと生活者を結ぶ取り組みの一つだ。今後、いかにデザインのプロフェッショナル集団が、企業と消費者の枠を超えて、生活者との関係を構築していくのか、注目だ。
河上洋樹
楽天デザインラボ マネージャー
東京芸術大学卒。
ビーコンコミュニケーションズにてアートディレクターとして外資グローバルブランドのクリエイティブを担当。
2016年より楽天入社。ブランディングを中心に、楽天コーポレートブランドのクリエイティブに携わる。
北村淳
楽天デザインラボ デザイナー
University of the Arts London卒、新卒でサーチアンドサーチtokyo入社。
その後ビーコンコミュニケーションズ、ハバスワールドワイドにてクリエイティブを担当。
2019年より楽天入社。
アプリアイコンのデザイントーンのコントロールや、お買いものパンダを用いたクリエイティブの品質担保を担当。
太田早紀
楽天デザインラボ デザイナー
2017年University of London, Goldsmiths BA Design卒。
2018年新卒で楽天入社。
新卒採用のためのクリエイティブや、新規事業のUIデザインなどを担当。
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