注目手法Amazon広告は、Google広告と何が違う? 売れるための原則までプロが解説

世界最大級のECサイト・Amazon。「販路」としてだけではなく、Amazon独自の広告アルゴリズムを使った「メディア」としての活用も注目されている。そこで、担当者が押さえておきたい「Amazon広告」の仕組みと活用のポイントについて、宣伝会議が開講する「メーカー・ブランドのためのAmazon販売推進講座」の講師であるアユダンテ チーフSEMコンサルタント 寳洋平氏に聞いた。

本記事は、月刊『宣伝会議』2019年10月号別冊『100万社のマーケティング』の転載となります。

(C)123RF

消費者が欲しい商品を探すのはGoogle?Amazon?

「何かを欲しいと思ったとき、それをどのような手段で探しますか?」

セミナーの場で、こんな質問を投げかけたことがある。返ってきた結果は、Amazonが圧倒的にトップだった。その結果をその場で参加者の方々に共有したところ、「へえ、自分だけでなくみんなもそうなのだ!」と改めて驚いていた。

一方で、「いや、ネットで何かを探すときはGoogleを使うのが王道だろう?」と思った方もいるかもしれない。その気持ちはよくわかる。10年以上検索エンジンマーケティングに携わっている筆者自身、「検索と言えばGoogle」を前提に考える癖がしみついているからだ。しかし、検索結果を注意深く観察すると、欲しいものの検索にAmazonを使うユーザーが増えている理由がわかってくる。スマートフォンを手にとって、頭に浮かんだ欲しいものを検索した結果をGoogleとAmazonで比較してみよう。これを読んでいるあなたもぜひ試してみてほしい。

多くの場合、Googleの検索結果はAmazonや楽天市場などの大手ECサイトのほか、情報サイトやリアルの店舗など、さまざまなサイトを含む結果が返ってくる。決して悪いわけではないが、ぴったりというほどでもない。

一方Amazonで検索すると、探している商品のバリエーションがきっちり返ってくる。少なくともこの記事を書いている2019年8月の時点では、何かを「欲しい」とき、Amazonで検索するのが探している商品に最短でたどり着く道だろう。このことに気づいてから、筆者は顧客の商材の検索ニーズを調べるとき、必ずGoogleとAmazonの両ツールを使うようになっている。ユーザーの“欲しい”という検索ニーズを捉えたければ、Googleだけを見ていては不十分なのだ。

Amazonの強みは検索・閲覧・購買データ

そうしたユーザーの動きと対応するように、近年Amazon広告への注目が急速に高まっている。米国ではGoogleとFacebookに次いで第3位の規模を誇るオンライン広告プラットフォームとなっており、Amazonへの広告投資が本格化している。

企業がオンライン広告に投資する理由はシンプルで、リターンが期待できるからだ。ただ、もちろん期待だけで十分なはずはなく、Amazon広告を使って成功しているからこそ継続した投資が行われ、利用企業が広がっていく。

では、Amazon広告の利用企業が広がっているのはなぜか。現代のオンライン広告プラットフォームは、彼らの保有するデータがキモだ。プラットフォームだからこそ持てる膨大かつ固有のデータが強みとなる。

Googleは検索エンジンをはじめ、メール・地図・動画など自社サービスのユーザー行動データを持っている。Googleがこれらのデータを活用した広告メニューを展開しているのはご存じの方も多いだろう。同様に、世界最大のソーシャル・ネットワーク・サービスであるFacebookは、おもにサービス利用者の示した興味や関心に関するデータを活用した広告を展開している。

一方Amazonは、世界有数のECプラットフォームだ。強い購入意図をもったユーザーが訪れて「検索」し「閲覧」し「購入」している。これらのデータを活用できるのが強みである、と言えそうだ。

実際、Amazonに訪れたユーザーの検索・閲覧・購買のデータを使ったAmazon広告は、コンバージョン率がとても高いことを実感している。Google広告で自社サイトに遷移させるようなこれまでの広告のコンバージョン率と比べて、5~10倍高いことも珍しくないほどだ。

ものを買いにくるユーザーが集まる巨大プラットフォームであること、検索・閲覧・購買のデータを活用しながら広告を出せることは企業にとって大きな魅力となる。利用企業が加速度的に広がっている理由はここにある。

次ページ「原則=売れるサイクルに乗せる」へ続く

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