62.9%のクリエイターが担当広告企画やイベントの延期・見送りを経験
新型らコロナウイルスにより、クライアントワークの進行に影響がある人は、89.3%。
62.9%の人が「自分が担当している広告企画の制作・イベントの延期、見送り」を経験しているようだ。「イベントを実施したが、来場者数が前回と比較し激減した」という回答も寄せられている。2番目に多いのが「打ち合わせ・オリエン・プレゼンのWeb会議への変更」。「競合プレゼンが、対面でのプレゼンテーションではなく、メールでの企画書の提出に変更になった」という声もあり、仕事の進め方にも影響が出ている。
また、撮影が延期になった理由には次のものが挙げられた。「人が集う大規模撮影がNG」「スタッフの居住地に感染者がいる」「ロケ先が難色」「マスクがない」。
この状況に際して、日本アド・コンテンツ制作協会は、「新型コロナウイルス感染拡大に伴うリスク対応について」の指針を発表している。
そこでは、「撮影スタジオをはじめとする私たちの就労現場は、そもそも『3つの密』を避け難い環境です。感染爆発の回避=人命尊重が最重要という観点から、現状は一時的中断選択フェーズと判断でき、さらに一時的業務中断フェーズも現実的となっています。可能な限り、リスクを伴う制作業務継続を回避すべき段階にあると考えます。(Ver.3 4月3日更新版より)」と言及している。
表現やビジネスに与えた影響
広告の現場では注釈の追加、メディアの制限など、さまざまな面で影響が出ている。深刻化、長期化すると事業存続が危ぶまれるという意見もある。広告表現も変化し、言葉の選択にも注意を払わなくてはいけない状態だ。新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする文言を使用しないことはもちろん、多くの人が集まることを助長する表現、イベントや外出の推奨、春休みや卒業式に関連する言葉の使用を控えるという傾向にあるようだ。回答者から寄せられた声の一部を紹介する。
これを機に進む広告界の働き方改革が進むと思う人が76.4%
新型コロナウイルスの影響で、広告界が打撃を受けていることは本調査からも明らかだ。一方で、「在宅勤務やリモートワークの新規導入」「時差通勤の新規導入」「フレックスタイム制の新規導入」といった働き方に関する制度に変更があり、働き方を見直す機会にもなっている。以下、回答者の声。
「在宅勤務、フレックス制など、今までは「そうだよね、それもいいよね」のレベルだったが、これを機に一気に変革していくような気がする(自社内、クライアントの両方で)」。
「体調が不安な際に休んだり、半休を使って帰ったり、というのがしやすいムードになってきていると思う」。
「不要な会議が減ったので、効率化はされたように思う。朝の画一的な出社時間には意味があまりないと改めて意識した方が多いように思う」。
事実、電通は3月19日、中期的に「持続可能なリモートワーク(在宅勤務または会社と自宅以外での勤務)」を目指し推進することを発表している(なお緊急事態宣言の発出期間中は、時限措置として「在宅勤務を基本とした業務体制」へ切り替えている)。
一方で、制度を導入するだけでなく、業務を円滑に進めるための環境や設備の準備が必要になるという課題が見えてきた。
「リモートワークにしたいが、会社が許可していないというより、クライアントから許可が出ない。家でデータを触るのがNGとのこと。リモートワークしやすい業界なはずなのに、クライアントワークとなるとなかなか難しい」。
「在宅勤務が推奨されたものの、機器やインフラの環境整備が追い付いておらず日ごろの整備が遅れていたことが露呈し、在宅にしたくてもできない人が頻出。会社方針のかけ声と実態が合っておらず、望ましい働き方になっていない」。
「完全フレックスではないので出社を遅らせた分、帰り時間も遅くなる。たとえば夕方暇になっても拘束時間は変わらない。ここは今後、より柔軟にするべきだと思う」。
他にも、「歓送迎会の中止により、知らぬ間に知らない人がいたりいなくなっていたり。同僚との何気ない雑談もなくなり会話量は圧倒的に減った」など、コミュニケーション上の問題も指摘されている。
5月1日発売の『ブレーン』6月号では、新型コロナウイルスに関連して掲出された広告や企業の取り組みに関する特集を予定している。
調査概要
広告界の新型コロナウイルスによる仕事への影響に関するアンケート
調査方法:Webアンケート
調査期間:2020年3月6日~3月13日
有効回答数:326件