デロイトトーマツグループは4月6日、インフォデミックに関するレポートを公開。パンデミック・エピデミック発生時におけるメディアの情報伝達力を指数化したところ、新型コロナウイルス発生後の情報伝達力は、スペイン風邪流行時(1918~1920年)の約150万倍であることが分かった。
2002年のSARS流行時は約2.2万倍、2009年の新型インフルエンザ流行時でも約17.1万倍だったことから、現在は爆発的なスピードに達していることが分かる。レポートでは、「企業のマーケティングや情報発信のあり方も見直す必要がある」と分析している。
インフォデミックとは、「情報の急速な伝染(Information Epidemic)」を短縮した造語。様々な情報が不安や恐怖とともに拡散されるため、人々が必要なときに信頼性の高い情報を見つけられなくなる現象を指す。
新型コロナに関しても、国内ではデマを発端にトイレットペーパーなどの紙製品の買い占めが発生。デマを否定する報道・投稿がかえって人々の不安感をあおり、品薄が現実となった。これは、誰もが情報発信の主体となれるSNSが浸透したからこそ発生した、典型的なインフォデミックだという。
インフォデミックの危険性については国際的にも注目を集め、WHOは2020年2月にインフォデミック発生に対する警鐘を鳴らしている。また同月に米国の科学技術誌『MIT Technology Review』は、新型コロナウイルスを巡るSNSでの情報拡散を「SNSによって引き起こされた初めてのインフォデミック」と表現している。
こうした事態を受けて、主要SNS各社は、「誤った情報の拡散を防ぐための対策を講じる」との共同声明を発表し、WHOや米国政府などとの連携を開始した。
レポートでは、SNSを通じた広報・宣伝活動について、「SNS上の情報はコントロールが非常に難しい」と分析。仮に拡散に成功しても、その“広がり方”は基本的に制御できず、広がっていく過程の中でメッセージが変質してしまう(意図と異なる形で読まれたり、想定外の文脈で共有されたりしてしまう)ケースがあるとしている。
企業に対して、「伝染し、拡散する『情報』の波をいかにコントロールし、乗りこなすか。これまでにない高度なリテラシーが求められる」などとアドバイスした。