“なりたい姿”を今の仕事と結び付けてキャリアプランを立てる~「プ譜」を使った実践事例とは

周囲の意見も盛り込みアップデートしたプ譜が、業務の基盤に

前田:その後、この件は順調に進んだんでしょうか?

山本:本社のプロダクト開発の優先順位の関係で、外部連携サービス推進のプロジェクトはいったんペンディングになりました。

私には、お客様のメールマーケティングに対してコンサルテーションを行えるようになろう、という新しい目標が与えられたのですが、コンサルテーションができるようになるというのは今の自分のレベルからは遠すぎるように感じていました。プ譜を書いてみても中間目的がなかなか思いつかず、中間目的を実現するためのタスク(施策)も漠然としたものになり、中身がスカスカでした。

前田:その状態は改善されたんでしょうか?

山本:月に1回、メンバーがプ譜を持ち寄って自分のプロジェクトの状況を共有するプ譜会があるのですが、そこにスカスカの状態でプ譜を持っていき、他のメンバーから勝利条件や中間目的などについて質問やレビューを受けました。当初、私が掲げていた獲得目標は「自分のコンサルテーションのレベルを上げる」だったのですが、メンバーからの質問やレビューを受けたことで、「Benchmarkのメンバーが、メールマーケティング業界における圧倒的なNo.1集団になる」という目標に変わりました。

前田:「Benchmark全体でNo.1の集団になる」という獲得目標のための勝利条件が、まず山本さんがコンサルタントとしてのレベルを上げるという順番になったということですね。

山本:はい。私の性格上、自分が前へ出ていくよりも、メンバーのために仕事をしている方がやりがいを感じるタイプなので、この目標に切り替わってからは、中間目的も施策もスラスラ出てきました。この日のプ譜会でプ譜をアップデートしてからは、このプ譜を基盤にして、仕事を進めることができています。

山本 美智
株式会社ベンチマークジャパン
メールマーケティングアドバイザー

2018年に入社以降、最新のメールマーケティングトレンドを日々学びながら、ユーザーがサービスを使いこなすための導入支援サービスや、HTMLメールのデザインやコンテンツへのアドバイスを年間50社ほど行っている。学生時代に学んだグラフィックデザインと英語の知識を活かしている。子どもの頃に憧れたメールクライアント(受信ソフト)はPostPet。

 

前田 考歩
プロジェクト・エディター

自動車メーカーの販売店支援兼グリーンツーリズム事業、映画会社のeチケッティング事業、魚の離乳食的通販事業、テレビCM制作会社の動画制作アプリ事業など、様々な業界と製品のプロジェクトマネジメントを行う。子どもの探究心を育む「なんで?プロジェクト」。企業のイベントやセミナー設計のための共通言語をつくる「イベントモジュールプロジェクト」などを主宰。宣伝会議では、「web動画クリエイター養成講座」、「展示会出展実践講座」、「提案営業力養成講座」などの講師を担当。

 


書籍案内

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対談バックナンバー
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「マニュアル」を捨て「レシピ」を持とう(2018.06.11)

プロジェクトのようにドキュメンタリーを撮り、ドキュメンタリーのようにプロジェクトを進める(2018.07.17)

「子育てプロジェクト」はキャリアアップのチャンス【マドレボニータ・吉田紫磨子×前田考歩】(2018.08.22)

「物語」はプロジェクトを動かす原動力になる(2018.09.20)

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子育て経験は最高のプロジェクト管理シミュレーションである(2018.11.15)

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