伝説の角川春樹監督のエピソードに衝撃(ゲスト:奈緒)【後編】

角川監督と玉田監督の演出の違い

澤本:スピリチュアル系な方でしょ?

奈緒:そうですね、この“みをつくし”の私の役が、お狐様に似ている役だったんですよ。角川さんも、私も、毎日きつねうどんや、おいなりさんを食べたり、お狐さんの小さな置物をモニターの前に置いて、毎日大事にしながらやっていたんですけど、ある時、角川さんが、「奈緒の顔がだんだん置物の狐に似てきた!今日なんてお狐様だったよ!」ってすごく喜んでいらっしゃって(笑)。

中村:奈緒ちゃんの周りではスピリチュアルな出来事が多いですね。

澤本:次々と(笑)。

奈緒:私自身は、スピリチュアルなことを感じない体質なんですけど(笑)。私の周りにそういう面白い話をしてくださる方がすごく多くて。角川さんは天狗ともお会いしたって。

澤本:えっ!天狗様!?

奈緒:天狗と会ったと言っていて、面白すぎて衝撃で。自分にはそういうことは絶対起きないなぁって思うと、伝説の人ってすごいんだなっていうのをすごく実感しました。角川さんの演出ですごく面白かったのが、人によって全然違うんですよ。

中村:演出方法が?

奈緒:はい。私は一切何も言われない。本読みを1回やってそこから何も言われなくて、すごく不安になっちゃって…。基本1回でOKが出ちゃうのでフィルムで撮っているような緊張感がすごくあって…。でも4、5回本読みをやった方もいらっしゃって、「私すごく不安なんですが、何で決めていらっしゃるんですか?」って相談した時に、本の段階で役を理解していたら現場で何をやっても大丈夫っていう感覚で演出されていて…。本読みから現場が始まっていたんだと。それはすごく面白かったですね。本をすごく大事にされている方ならではの演出だなぁと思いました。

澤本:全然違うものですか?

奈緒:監督さんによって全然違います。本をすごく大事にする方ももちろんですし、自分で書いて演出もされる方とかは、現場で「あ!ここ変えよう」とか、ライブ感が生まれたり。ドラマと映画でもまた全然違いますね。

澤本:玉田真也さんの映画『僕の好きな女の子』に出ていますよね。この玉田さんはどうでした?僕、むっちゃ演劇が好きなんですよ、玉田企画が大好きで。

奈緒:ほんとですか!?玉田さんの演出もめちゃくちゃ面白かったです。本読みってだいたい1回全部通して、終わってから「○○さんはもうちょっと明るくいってみましょう」とか、個別で何か話があるんですけど、玉田さんは演劇をやっていらっしゃる方というのもあるのか、本読みを始めて、本当に2、3行読んですぐ止めるんですよ。「あ、ちょっと待ってください。今のはもうちょっとテンポ早くいってみてもらっていいですか?じゃあ最初からいきましょう」って。

またバーっていって、また2、3行いくと止められて、「ここはこうですね。じゃあまた最初からいってみましょう」と。何回も最初からずーっとやって、すごく細かいタイミングまですべてその本読みのところでリハーサルをやるんです。それで、これはちょっと現場でいきなりっていうのは怖いなって思って、主演の渡辺大知さんと時間を合わせて、「もし合うなら2日間くらい、1日でもいいので本読みできませんか?」って、リハーサルをすごくしました。

澤本:それは演劇ですね。

奈緒:演劇でしたね、面白かったなぁ。

澤本:玉田企画の演劇って、セリフの間とかめちゃめちゃ面白いですからね。

奈緒:めちゃくちゃ早いですしね。もう何しゃべっているかわからない。映画の中でも玉田企画の常連の方たちが出演していらっしゃるのですけど、並んで書いてあるセリフを全部一気に重ねてみんながしゃべり出したりとか、かなり長いシーンだと思っていたのがこんなに一瞬で終わっちゃうんだってくらいみんなが一斉にしゃべるので、それで成り立っているのが本当にすごいなぁって思って。面白かったです。

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