新型コロナウイルス感染症拡大の影響、人流データに対する関心高まる
ヤフー・データソリューションでは2019年2月に、「企業間ビッグデータ連携で事業課題の解決を図る新規事業」の発表会を開催。ビッグデータを活用した事業について新たな構想を発表した。さらに、この構想に基づき同年10月31日よりデータソリューション事業の新サービスとして「DS.INSIGHT」と「DS.ANALISYS」の提供を開始した。
「DS.INSIGHT」はヤフーが保有する検索と位置情報の行動ビッグデータの分析ができるデスクリサーチツール、「DS.ANALISYS」は、そのほかのビッグデータも含め、ヤフーのデータアナリストが企業の課題に応じてカスタマイズして分析をしてくれるというもの。現在、2つのサービスを導入する企業・団体数は200を超えたという。
こうしたソリューションはヤフーが2018年2月に発表したビッグデータ活用に関する構想が起点となったもの。この構想は、ヤフーが保有する検索やメディア・ECなどの多岐にわたるビッグデータを社外にも解放。企業・自治体の参画を募り、データ利活用の実証実験を行うというものだ。現在、日本の企業におけるデータ利活用はどこまで進んでいるのか、さらに推進における課題とは何か、ヤフー・データソリューションの谷口博基氏に聞いた。
—新型コロナウイルスの世界的な拡散という未曽有の事態に、消費者の気持ちこれまで以上に読みづらい状況です。こうした環境下で企業のデータ利活用に対するニーズに変化はありますか。
いろいろな文脈で、その変化は起きています。顕著なところでは、事業主の方々からは人流を可視化したいという相談が多く寄せられました。
もう少し、人の内面的な部分の理解という点では、消費者の時間の過ごし方がどう変わってっているのかを知りたいという相談は多いです。実際、検索や移動のデータを見ていると、コロナ前と後では人の意識や行動が大きく変わっていることがわかります。わかりやすいところでいえば、出前とかデリバリーといった言葉での検索は増えていますね。消費者の気持ちや行動が理解しづらい時で、困っている企業が多いと思うので、データを使った支援をしていきたいと考えています。
—構想では、参画する企業・団体が相互にデータ利活用を進めるということも謡われていたと思います。ヤフー・データソリューションの導入団体間における連携は起きているのでしょうか。
参加される団体同士のコラボレーションはぜひ、実現させたいと考えていますが、まだ具体化はできていないです。ヤフーのデータと参画いただいている企業がお持ちのデータを掛け合わせたいですし、企業同士のデータ連携でも、よいシナジーが生まれると考えています。
マーケティング領域で言えばメーカーと小売り企業のデータ連携などは、非常に有益だと考えています。
—メーカーにおいては、特に購買に関するデータへの興味が高いと思いますが。
メーカーをはじめ、業態に限らず消費者との直接接点がない業態の方の関心が高いですね。出荷数はわかっても購買情報はわからないという状況に皆さん、課題感をお持ちだと感じます。実際に、自社の商品を検索していて購入しているであろうお客さまが、どのような方なのかを知ることができるだけで、驚かれます。
さらに「DS.ANALYSIS」では、「Yahoo!ショッピング」などでの購買データが、検索やニュース閲覧とも組み合わせて分析が可能なので、購買に至るまでのカスタマージャーニー全体を把握できる点が強みだと考えています。