アフターコロナの世界でも、ブランドづくりの基本は何ひとつ変わりません!

実務者ブランドを知ると、あなたは今よりお金を稼げるようになる(はず)

忙しい毎日を送るみなさんが、このコラムを読んだら、どんなよいことがあるのか?
今回は理論でなくて実践編ですから、説明はここから始めたいと思います。

皆さん。

ブランドはこれからますます重要になり、その重要性は高まるばかりです。

なぜなら、“今の時代”は「機能的価値よりも情緒的な価値が圧倒的に重要」だからです。このため、儲かるブランドをつくるには、情緒的な価値をつくる能力が、今よりもさらに重要になることは間違いありません。

皆さんが、実務者ブランド論を理解し、実践編でやり方(方法論)をつかめば、マーケティングやコミュニケーションに携わる方は時代から求めれられる能力が上がり、(すなわち)よりお金を稼ぐことができる人材になれるはずです。

ここまで読んでで、お気づきの方がいるかもしれません。

前回のシリーズの第5回で私は、「機能的価値の方が情緒的価値よりも圧倒的に重要であり、『モノよりコトの時代だから、機能的価値より情緒的価値が重要である。つまり、『製品サービスの質(機能的価値)よりもイメージ(情緒的価値)が大事』は大間違いである」と述べました。

なのに、実践編に入ったとたんに「機能的価値よりも情緒的な価値が圧倒的に重要」とは言っていることが矛盾しているじゃないか?どちらが正しいの?と思われるのは当然です。

そもそも「機能的価値の方が情緒的価値よりも、圧倒的に重要である」ことはいうまでもありません。比べるのもばかばかしいくらい、機能的価値が重要です。しかし“今の時代”に限定すると、残念ながら「機能的価値よりも情緒的な価値が圧倒的に重要」なのです。

この部分を、順を追って説明していきましょう。

あなたは通勤やレジャーに自動車を使っています。

いま乗っている自動車は、なんとなく好きな会社の車で、デザインも気に入っています(あなたは、情緒的価値を評価しているかもしれませんね)。

そろそろ、同じ会社の車に買い替えようと考えていました。

すると、別の会社でガソリン代がゼロ(空気中の二酸化炭素を燃料にする自動車で、ガソリンは不要)の車が発売されたのです。

あなたは今、乗っている会社の車(情緒的価値が高い)か、別の会社のガソリン代ゼロ(機能的価値が高い)の車かどちらを買いますか?

一般人は、ガソリン代がかからない、会社の車を買うでしょう。

*本題から外れますが、メルセデスベンツやポルシェなどの高級車に乗っているお金持ちは、ガソリン代がかからない(機能的価値)ことに価値を感じないでしょうから、それでもメルセデスベンツやポルシェを買うでしょうね。スーパースターともいえる超優秀なブランドにおいては、ユーザーと商品の間に非常に高い情緒的価値が存在することがわかります。

別の例です。

あなたは、エアコンを買おうとしています。

もともとダイキンがなんとなく気に入っています。

省エネ性能が高い、年間電気代5万円のダイキンエアコンを買う予定でした。

そのタイミングで東大発のベンチャー企業が年間電気代わずか1円の画期的な省エネエアコンを開発・販売を開始しました(電気代以外のエアコンの性能はまったく同じ)。

あなたはどちらのエアコンを買いますか?

私は、ダイキンに勤めていながら、ベンチャー企業のエアコンを買ってしまいそうです。だって年間電気代が5万円近く下がるなんてすごいお得です。

この2つの架空の例からも、製品サービスの質(機能的価値)の方が、イメージ(情緒的価値)よりも価値があることは明らかです。

機能的価値が強い意味をもつのは、その価値を数字や言葉で論理的に、きちんと説明できるからです。数字にもとづき「説明された内容」は、頭で理解できます。

そして理解した内容に「高い価値」を感じた場合は心から納得できるのです。

それに対して、言葉で説明することが難しい、論理的ではない、ふわっとした情緒的価値は機能的価値と比較にならない、ひ弱さがあるのです。

これは本質的な、不変の真実。だからブランド界以外の人が、製品サービスの質(機能的価値)の方が、イメージ(情緒的価値)よりも本当は価値があると考えるのは自然なことなのです。

しかし、“今の時代”は「機能的価値をよりも情緒的な価値が圧倒的に重要」なのです。

次ページ「今の時代が、機能的価値よりも情緒的価値が圧倒的に重要な理由」へ続く

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片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)
片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)

1988年ダイキン工業入社、総務部宣伝課に配属。1996年広報部 広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。現在は 統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)による企業ブランド構築、マスとデジタルのB2C商品広告展開、広告媒体の購入、グローバルグループWEB統括を担当。日本広告学会員。

片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)

1988年ダイキン工業入社、総務部宣伝課に配属。1996年広報部 広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。現在は 統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)による企業ブランド構築、マスとデジタルのB2C商品広告展開、広告媒体の購入、グローバルグループWEB統括を担当。日本広告学会員。

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