柿本ケンサク氏らによる「CONNECTION LAB」第一弾、レノボのショートムービーを公開

「現場から映像制作をアップデートしていく」ことを掲げ、柿本ケンサク氏をはじめ第一線で活躍する映像クリエイターらが集まり、2018年10月に設立されたCONNECTION。

そんな彼らが今年1月に、新たな試みとして「CONNECTION LAB」を立ち上げた。このラボが目指すのは、「企業と一緒にゼロから考える映像づくり」だ。

特筆すべきは、その制作プロセスが通常のCMや動画制作とは異なる点だ。まずCONNECTIONのディレクター陣は、企業担当者から直接オリエンを受ける。そして、そこで出てきた課題やブランドについて、企業担当者、ディレクター全員でブレストする。そこで出てきたワードやイメージを受けて、ディレクター陣は各々企画を考え、各企業に自らプレゼンをする。そこで採用された企画を、一人のディレクターがかたちにしていく。

今回、このプロジェクトに参画したのが、カルビー、マキタ、レノボという事業会社3社。それぞれディレクター陣とディスカッションを交わし、プロジェクトを進めていった。そして、その第一弾となるレノボのYOGAをテーマにしたショートムービー『One Trick Pony』が公開された。

 
物語の主人公は、小学生のゲンキ。勉強があまり得意なほうではなく、習い事も運動も好きではない。自転車も、乗れない。女の子にも言いたいことが言えない内気な少年だ。そんなゲンキといつも遊んでくれていたおばあちゃんがいなくなってしまう。

「好きなことを見つけなさい、好きなことのために努力しなさい。ゲンキは、天才だから」。

ゲンキの部屋にはおばあちゃんが誕生日に買ってくれた大きなパソコンがある。それを見たゲンキは、おばあちゃんの言葉を思い出しながらペンを取り、絵を描き始めるのだった。そして、絵を完成させたゲンキはキーボードを打ち込み、ニューヨークのアートコンクールへエントリーする。PCの画面に描かれていたのは…。

「当初、この物語は主人公を高校生に設定していましたが、レノボの皆さんと意見を交わしたり、リサーチをしていく中で、今の若い子はPCやタブレットがすごく身近で、10~20代の若きクリエイターが多いことも実感したので、年齢層を大幅に下げて小学生に設定しました」と話すのは、本作の脚本と演出を務めたCONNECTION 白石剛浩監督。

従来のMVやCMとは違う制作のプロセスについて、白石監督は次のように振り返る。「レノボさんから直接オリエンを受け、商品への思いやブランド理念を聞くことができたのと、その後もコミュニケーションを交わすことが新鮮で、発見や気づきが沢山ありました。そして、基本的なテーマを元にして、表現方法は自由でした。

自由なのであれば、普段は開けないで静かにしてもらっている引き出しも開けっ放しで考えてみようと思い、短い秒数でインパクトを残す方法ではなく、感情移入できる長さを持ちながらインパクトを残す“短編映画のようなブランドムービー”を提案しようと決めました。正直なところ、この企画は受け入れられないだろうとは思いつつも、妄想と脚本は自分の強みでもあり、やりたい事でもあったので、30分で一気に物語を書きました」。

ショートフィルムのテーマは、「可能性」と「人は見た目によらない」である。
「きっと世界中のどこにでもいる“ゲンキ”という少年の夢や目標を後押しする存在としてのパソコンを描きたいと思いました。そして、人それぞれ自由に使ってほしい。はじめは上手くできなくても、楽しいと思えれば勉強するだろうし、友達に教えてもらったり、PCがきっかけで好きなものが見つかることもあると思います。そして、アート表現をする時は良き相棒になってほしい。

フィギュアスケートやスノーボードなどスポーツでは、若い頃に才能を開花させる子どもは多い。勉強や文化芸術も一緒で、子どもの持つ可能性は親御さんのサポートで無限に伸ばしていけるのではないかと思います。

例えば、毎日のように漫画を読み続けている子ども。「そんなに好きなら、漫画、描けるんじゃない?」と言ってタブレットをさらっと渡してあげるとか、まずは「お母さんを描いてほしい」とお題をあげたりすれば、漫画を読むことよりも描くことに夢中になるかもしれない。そんな風にして、子ども一人ではできない、彼らが持つ可能性を伸ばす方法って色々あるのかもしれないと、制作途中に何度も思いました。

もちろん大人になっても可能性は誰にでもあるので、そこは好奇心にまかせて挑戦あるのみだと思います」。

CONNECTION LABでは現在、レノボ「One Trick Pony」に続く作品を制作中。完成次第、随時公開をしていく予定だ。

スタッフリスト

企画制作
CONNECTION+ピラミッドフィルム
PR
河野将太
PM
津留春花
脚本+演出+編集
白石剛浩
アシスタントディレクター
芝山心太
撮影
光岡兵庫
照明
テリーマン
DO
熊木浩司
美術
秋元祐介
ST
元廣壽文
HM
三上早苗
Cast
森正祐紀
編集
眞田康平
VFX
岸愛美
カラリスト
石山将弘
CG
城戸久倫
Mix
岡本芳一
SR
高田林
音楽
harukanakamura、audioforce
Drawing Supervisor
山下良平
ロケーションコーディネート
とみさとフィルムコミッション

ecd:エグゼクティブクリエイティブディレクター/cd:クリエイティブディレクター/ad:アートディレクター/企画:プランナー/c:コピーライター/d:デザイナー/演出:ディレクター/td:テクニカルディレクター/flash:flash制作/me:マークアップ・エンジニア/pgr:プログラマー/epr:エグゼクティブプロデューサー/pr:プロデューサー/pm:プロダクションマネージャー/ap:アカウントプランナー/ma:録音/st:スタイリスト/hm:ヘアメイク/crd:コーディネーター/i:イラストレーター/cas:キャスティング/ae:アカウントエグゼクティブ(営業)/na:ナレーター
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