外食向けに業務用青果卸を営むフードサプライ(東京・太田)は4月9日、本社近くと千葉県野田市にある物流センターで余剰在庫となった野菜を販売する「ドライブスルー八百屋」を開始した。
売れ残った野菜に米、卵などを詰め合わせた「もったいない野菜セット」(税込5000円)を販売。ドライブスルー形式で、スタッフが直接買い物客の車のトランクに商品を積み込み、人との接触を極力減らす。
同社の檜原純氏(営業本部 部長)によると、5月14日時点で、約1万2000セットを売り上げた。
全国で廃棄削減に取り組む
同社は以前から、廃棄になりそうな野菜を飲食店へ紹介し、商品開発を促すなど、食品ロスを減らす取り組みを実施してきた。今回のドライブスルー八百屋は、飲食店の休業の影響で野菜が大量に廃棄されてしまう状況を踏まえ「野菜を安心安全な方法で届けたい」という想いで企画した。
取り組みを始めると、多くのメディアで報道されたこともあり、一気に認知が拡大。全国各地で同様の仕組みを導入したいという要望の声があがった。これを受け、東京をはじめ、北海道、福岡県、宮城県など全国14拠点に販売エリアを拡大している。
これだけ急速に拡大した理由はできるだけスピーディーに進めているから。申請のあった地域との連携は1週間以内を目標に進めている。「野菜は鮮度が大事。生育が進むと廃棄になってしまうため、素早い対応が必要です」と檜原氏。
利用した買い物客からは、「ネット通販は配送が遅延してしまうこともあるが、ドライブスルーであればすぐに購入できる」という点などが好評を得ている。
今後も飲食店の休業明けに向けて、生産者には飲食店向けの青果を生産してもらう必要がある。檜原氏は「少しでもロスを出さないように、生産者のお手伝いをしていきます」と語った。
ノウハウを活用して自社販売
同社の取引先である串カツ田中ホールディングス(HD)は4月20日、フードサプライの「もったいない野菜セット」販売のノウハウを活用し、店舗で使用する予定だった野菜の店頭販売を開始した。価格は1500円(税別)。
串カツ田中HDの広報担当によると、「ドライブスルー八百屋」の取り組みを受け、「自社の店頭でもできるのではないか」と社内で話し合ったのがきっかけ。新型コロナ感染拡大防止のために休業した関東の41店舗から販売をスタートし27日までで約1000セットを売り上げた。
また、西日本、九州地方に95店舗にも拡大。都市部では「いろいろな野菜が入っていて使い勝手が良い」などと反響があった。地方では、都市部と比較すると、もともとの野菜の価格が低く農家から直接野菜を購入することも多い。そのため同社では、野菜セットの内容を工夫していくという。
同社の広報担当は「生産者さまの苦しい状況を今回の取り組みで応援していきたい」と話した。