VR・ARのイベント事業を中心に行うHIKKYは4月29日から5月10日まで、VR空間にある会場で商品の販売や宣伝を行う「バーチャルマーケット4」を開催。2019年9月に開催した前回(71万人)を超える来場者が国内外から集まった。今回の詳細はまだ集計中だが、前回は7割が海外からの参加だった。
会場は「企業出展会場」と「一般クリエイター出展会場」に分かれ、企業は43社、一般クリエイターは1400ブースを出展した。売買されたのは、アバター向けの3Dアイテムやリアルグッズ(洋服、PCなど)。VR機器や自宅のPCから参加できる。
同社は2018年から「バーチャルマーケット」を開催。バーチャル空間での生活を豊かにしたいという想いでイベントを継続している。同社広報担当の大河原あゆみ氏によると、今回の企画を進めていたところ、偶然にも新型コロナウイルスの感染拡大があった。「外出自粛が進み、皆が自宅で楽しめるコンテンツを探しているところにこのイベントの開催時期が重なったため、より注目が集まったのだと思います」と話した。
アウディが電気自動車で出展
初出展となるアウディジャパンは、日本未発売の電気自動車「e-tron」を会場内に複数出現させた。アバターを通してスタッフが接客し、テストドライブ体験も実施。同社の広報担当は「以前からVRなどを使った、物理的な接触なしに顧客がブランドと関わる方法を模索しており、今回の出展に至りました」と経緯を明かした。
ブースにはアウディのメインターゲット以外の層も来場した。同社マーケティング部の須長佑允氏は「年齢も性別も分からないVR上であるからこそ、気軽に話してくれるお客さまが増えた」と手応えを語る。また、来場者からは「細部まで車体が表現されていた」と反響があった。
セブン&アイは店舗を再現
第2回(2019年3月)から出展を続けるセブン&アイ・ホールディングスは、実在する店舗をバーチャル上に再現。スクウェア・エニックスとのコラボでゲームの3Dデータ販売などを行った。
また、ブースからECサイトのセブンネットショッピングへの動線もつくり、リアルグッズの購入へつなげた。同社によると、VRの細やかな表現力とこれからの可能性を感じたことが出展のきっかけ。今後も、顧客との接点をリアル店舗だけではなく、幅広く展開していく方針だ。
前回に続く出展となったウィゴーは「WEGO パラリアルトーキョー店」としてバーチャル店舗を出展した。代表取締役社長の園田恭輔氏によると、今回の出展は、同社のスローガンである「YOUR FAN」のもと、アバターを自己表現のひとつと考え、新たな販売チャネル構築への挑戦と捉えているという。
ブースでは同社で販売しているリアルアイテムをアバターが着用できるよう、デジタルデータ化して販売した。店頭では現役のWEGOスタッフがアバターを通じて接客。スタイリングの提案を行った。園田氏は「世界中の方が来店し、コミュニケーションの成り立ち方などを経験するいい機会となった」といい、今後はアバター用のデジタルアイテム市場への参入も視野に入れていく方針だ。