パーセプションチェンジによる老舗ブランドの持続的成長 — 「CMO CLUB GLOBAL」分科研究会レポート

「CMO CLUB GLOBAL」では「マーケターの、マーケターによる、マーケターのための組織」を目指し、各業界ごとに6名のボードメンバーを選出。そのメンバーが中心となって年間の活動を設計・実行している。

ボードメンバーが主体となる活動の第1弾として、4月から各ボードメンバー6名がリーダーとなってマーケティング課題について議論する、分科研究会がスタート。今年の分科研究会では「パーセプションチェンジによる老舗ブランドの持続的成長」「経営とマーケティング」「マーケティングにおけるテクノロジー活用」「アドエクスペリエンス」「新規事業とマーケティング」の5つのテーマについて、リーダーを中心に関係する4名程度のCLUBメンバーが参加して、ディスカッションを実施。1回目の分科研究会を終えたチームのディスカッションの様子を紹介していく。

ブランド認知が高いからこそ、固定化したイメージに課題
時代の価値観に合わせた、新しいベネフィット創出を目指す

2019年に60周年を迎えた「ベビースター」ブランドでおなじみのおやつカンパニーの髙口裕之氏(取締役 専務執行役員 マーケティング本部長)がリーダーとなり、議論が進んでいる分科研究会のテーマは「パーセプションチェンジによる老舗ブランドの持続的成長」だ。

髙口氏は2019年5月に「CMO CLUB」の研究会に初めて参加。その際、「ブランドイメージが確立されていることは大きなアドバンテージになる反面、販売チャネルや消費者意識が変化を続ける市場環境を踏まえると、新たな価値やイメージを獲得し、指名買いしてもらう確率を高めることが必要であると考えている。現在、『ベビースター』は間食だけではない新たなパーセプションをつくり、これまでにないブランドイメージを獲得することを目指している」との戦略を語っていた。

こうした問題意識を持つ髙口氏と共に議論を重ねる参加メンバーは、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの杉本美穂氏、サンリオの木村真琴氏、?野家の田中安人氏の3名。いずれも歴史あるブランドや商品・サービスを抱える企業に属するメンバーだ。

「時代に即した提供価値の刷新と、露出の頻度最大化最適メッセージの創出

木村氏は2019年に45周年を迎えた、世界的人気キャラクターのサンリオの「ハローキティ」について言及。さらに「時代に即した提供価値の刷新は『ハローキティ』にも必要。常に存在感を発信し続けるためには、その時々の環境に応じたポジショニングの調整が必要」と語った。

1899年に日本橋の河岸からその歴史が始まった?野家においても田中氏は「令和の今の時代にアジャストした価値提案が必要」とコメント。日本橋、築地の河岸職人たちに鍛えられて培われてきた「うまい、はやい、やすい」という?野家の価値は盤石だが、社内ではこのキャラクターを人で例えると、高倉健さんのようなイメージという認識があったという。「?野家には、江戸時代の粋の文化が根付いていると思うが、それを令和の今の時代に合わせた表現に変えていくべき」(田中氏)と考えていると話した。

その歴史が1850年にまで、さかのぼるアメリカン・エキスプレス・インターナショナルでも「決済に関わる商品・サービスの市場拡大のなか、新しい時代の価値観に沿った、ブランドベネフィットの創出が必要とされている」(杉本氏)との話があった。

「CMO CLUB GLOBAL」Founderの加藤希尊氏は「本テーマでは、築かれたブランドイメージを損なわない価値転換がキーになる」と話している。

各社の課題を互いに共有することができた1回目の研究会を経て、次回の会では「変えるべきではないバリュー&環境変化に対応すべきバリュー」をテーマにさらに議論を深めていく予定だ。

テーマ:
パーセプションチェンジによる老舗ブランドの持続的成長

チームリーダー:
髙口裕之氏(おやつカンパニー 取締役 専務執行役員 マーケティング本部長)

参加メンバー:
・木村真琴氏(サンリオ CMO マーケティング本部長)
・杉本美穂氏(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc. 個人事業部門 マーケティング部 副社長)
・田中安人氏(?野家 CMO)
・加藤希尊氏(「CMO CLUB GLOBAL」Founder)
・谷口 優(「CMO CLUB GLOBAL」Content Director)

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ