全国に「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)は5月19日、冷凍食品市場に参入すると発表した。同月20日から、店舗でも提供している「鶏と野菜の黒酢あん」をはじめとする8品目を都内22店舗でテスト販売。7月からは通販も予定している。
取締役新規事業推進本部長の村山康介氏によると、市場参入の大きな理由は顧客のライフスタイルの変化を感じたこと。同社では、新型コロナウイルスの影響を受ける以前からテイクアウトやデリバリーメニューの売上が伸びていた。その一方で、高齢者や人数の多い家族は、毎回テイクアウトのために来店することが難しいという声があった。そこで、2019年7月ごろから市場への参入を計画、今回の商品発売に至った。
大戸屋では、創業60年以上にわたって店内加工・調理を行っている。村山氏によると、冷凍食品の開発の際には、店内飲食メニューに引けを取らない品質を保つことを最優先に考えた。また、店内向けの商品をそのまま冷凍食品するのではなく、「デミハンバーグ」など冷凍食品限定メニューも展開。さらに、少子高齢化による単身者の増加を見込み、内容量を60グラム~160グラムと少量に設定した。
今後は顧客の反応を踏まえて、メニューを追加していくほか、量販店やECサイトなどの販売チャネル拡大も目指す。将来的には冷凍食品が国内、海外事業に次ぐ第3の「収益の柱」となるよう事業展開していきたいという。