20の消費者欲求、「ニューノーマル・プラネット」の2つの事例
<消費キーワード>
失われた五感回復消費
<代表する消費者事象(n=1)>
好きな物を好きなだけ食べることができるケーキバイキングに行けなくなったので、自分で週末ごとにホールケーキをつくり、その甘い匂いに包まれて幸せを感じている。家事や子育てで忙しく、ゆっくり食事もできない日常のストレスを、これまではバイキングでたくさん食べることで発散していた。
<共感スイッチ>
デリバリーやオンラインでは得られない、五感が豊かな体験を楽しみたい。
<非共感ポイント>
ライブ感やシズルなどの五感が乏しい。
<Beforeコロナの価値>
リッチな五感を当たり前のものとして普通に受け容れる。
<WithコロナまたはWith/Afterコロナの価値>
抑えられてきたリッチな五感をより強く求める。
<この欲求に応える、企業のマーケティング活動例>
・中国の大手レストランチェーンが、休業期間を利用して新たな半調理品の商品を開発し、自宅でもレストランで食べるような五感をリッチに提供した。
・アメリカのスキンケアンブランドが、デジタル技術を活用し、バーチャル・コンサルティングを開始し、ユーザーをサポートする。
<消費キーワード>
ソーシャルエクスキューズ消費
<代表する消費者事象(n=1)>
仲間とウォーキングをする時に、他の人から危機感のない人と思われないようにいつものコースを出発点から逆回りに歩いてゴールで合流するように変えた。自粛して社会的な責任を果たしている、人から攻められることもないという安心感を持ちつつ、目の前の自分の欲求を充たすことができる。
<共感スイッチ>
社会的な責任を果たすことによって、ちょっとは我がままにやりたい。
<非共感ポイント>
隠れ蓑が無く、自分の強欲があからさまになる。
<Beforeコロナの価値>
単に自分にメリットがある。
<WithコロナまたはWith/Afterコロナの価値>
社会的なエクスキューズを盾にできる。
<この欲求に応える、企業のマーケティング活動例>
アメリカのハンバーガーチェーンは、一定の料金以上の注文のデリバリー料金を無料にし、簡単に医療従事者への支援活動にも参加できるキャンペーンを行う。
これらの新・欲求は、定性調査による質的情報から作成したものです。そのため、どの程度多くの人が当てはまるのかという一般性の確認、定量的な検証が必要です。
その点は、全国の15~79歳の男女を対象に、共感スイッチ(企業が応えるべき消費者の欲求)について評価してもらい、量的な確認も行っています。
書籍案内
新刊『ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚』(好評発売中)
チャンスは常に人々の「隠れ不満」の中にある。いま「ほんとうに欲しいもの」は、消費者本人も自覚できていません。社会が成熟した現代に重要なのは、「本人も無自覚な不満」を理解することです。本書では、この「無自覚な不満」を起点にして、「ほんとうに欲しいもの」を見つけるシンプルなフレームワークを紹介します。