JAROが2019年度の広告審査統計発表 ネット広告への苦情が初のテレビ超え

日本広告審査機構(JARO)は5月29日、2019年度の広告審査に関する統計をまとめた。総受付件数は1万2489件(前年度1万1051件)で、前年度比113%となった。内訳は「苦情」9324件(同8386件)、「照会」2074件(同1669件)、「称賛」12件(同36件)、「JARO関連」125件(同83件)、「広告以外」954件(同877件)であった。

総受付件数は、昨年に引き続きオンライン経由の「苦情」が大幅な伸びを見せている。苦情全体のうちオンライン経由は6718件(前年比124.1%)で、苦情の7割以上を占めた。2019年7月にオンライン上の送信フォームを一新し、スクリーンショットなどの添付機能の拡大や入力の利便性を図ったことも伸びにつながった。

消費者から寄せられた「苦情」の年代・性別での内訳をみていくと、「10代男性」(前年度比147.6%)、「20代男性」(同143.4%)、「20代全体」(同120.4%)、「50代女性」(同121.6%)、「70代以上女性」(同123.7%)で、若年男性の増加が目立った。

テレビCMの減少でインターネットがトップに

寄せられた「苦情」を業種別にみてみると、最も多かったのは「デジタルコンテンツ等」で855件。次に「健康食品」770件、「自動車」344件、「化粧品」324件と続いた。

「苦情」の業種別件数

※1「通信販売業」はネットやテレビなどの通販専業事業に関するもの。健康食品販売事業者が通販で提供する場合、「健康食品」で計上している。

トップの「デジタルコンテンツ等」は前年度比128%と大幅に増加。中でもスマートフォン用ゲームアプリに対する苦情が268件と最多だった。「広告とゲーム内容が異なる」や「卑わいな広告表現が不快」などといった苦情が寄せられた。

2位の「健康食品」は、近年問題視されている定期購入契約に対する苦情が集中。4位の「化粧品」では、テレビCMで「前半と後半の出演者が異なるのに、まるで使用前後の効果を表現しているかのように見える」などといった苦情が複数寄せられた。

媒体別の苦情件数では、「インターネット」4048件(前年度2847件)、「テレビ」3961件(同4396件)、「ラジオ」305件(同308件)、「店頭」245件(同188件)となり、初めてインターネットがテレビを超えた。JAROよると、2019年度はテレビCMが相対的に少なかったことや、ウェブサイトの送信フォーム改善の影響などが理由として挙げられる。

誤解を招く広告表示に対する不満増加

「苦情」の種類に関しては①広告・表示規制上の問題、②広告表現、③広告の手法の大きく3つがあるが、その中でも増加率が高かったのが広告表示。広告・表示が事実と異なる、誤認を招くといった表示に問題があると訴える苦情で、内訳で見ると、「価格・取引条件等」は前年度比150.1%、「品質・規格等」は同184.3%だった。

JAROでは、広告の適正化に向けて、苦情対象となった広告主にその見解を発信している。見解の発信は重要度が高い順に「警告」「要望」「提言」の3段階に分かれており、2019年度は警告31件、要望2件、提言1件の計34件であった。

「苦情」の媒体別件数

※2 複数の対象媒体を指摘する苦情があるため、媒体別総件数は苦情総件数を上回る。
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