子どもにどんな内容の広告を見せているか、広告出稿企業やメディアの責任が、ますます問われることになりそうだ。
小学生のインターネットやテレビへの接触が増えていることが、群馬大学や宇都宮大学の調査でわかった。新型コロナウイルス感染症の拡大による休校措置や、オンライン授業の増加などを機に、子どもが「スマホやゲーム機でゲームをする」ことが「増えた」とする人が59.2%に上った。「テレビやネットで、演劇や映画を見る」ことが「増えた」と回答した人は29.3%だった。伊藤賢一・群馬大学教授、川島芳昭・宇都宮大学准教授、NPO法人「子どもとメディア」(福岡市)らが5月27日に発表した。4月20〜25日の小学生の子どもの様子を、1300人に尋ねたもの。
スマホやパソコン、タブレットなど、子どもがインターネットを利用できる機器がある家庭は9割以上。一日あたりどのぐらいの時間「気分転換・娯楽のためのゲームや動画」に接しているか、という質問には、「2時間以上3時間未満」が16.4%、「3時間以上4時間未満」が6.8%、「4時間以上」が12.0%となった。
インターネットに接する時間が多くなることで、子どもが広告に触れる機会も増えている。ユニセフ(国連児童基金)は4月15日、子どものネット利用時間の増加を受け、「有害なコンテンツや暴力的なコンテンツに触れたり、ネットいじめのリスクが高まる可能性もある」との声明を出した。
こうした中、広告世界最大手WPPは5月末、子ども向け広告配信のスーパーオーサム(SuperAwesome)との提携について発表した。スーパーオーサムは、米国のCOPPAや欧州のGDPR-Kなど、各国の法令に合わせ、子どもの個人情報を収集せずにターゲティングして広告を配信できるという。WPPは、より適切な方法で子どもに広告を見せたい企業への提供を始める。
スーパーオーサムの調べでは、米国でも3月は、6歳〜16歳のオンライン接触時間が在宅時間の50%を占めた。
スーパーオーサムのディラン・コリンズCEO(最高経営責任者)は、「未成年の消費行動は、小売業やエンターテインメントなど多くの企業の業績に対し、大きな影響力を持っている。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、オンラインにおける未成年の振る舞いが変化しているいま、16歳未満のネットユーザーとのかかわり方を進化させることは企業にとって不可欠だ」とした。