日本は、それでも関係ないのだろうか。
多民族国家ではない日本に住んでいると、この人種差別問題は実感を持って感じられない人も多いと思います(むしろ、その“実感を持てないこと”こそが、無意識のうちに刷り込まれている非常に根深い問題ともいえます)。
その理解のなさから制作される、人種差別を助長するような広告表現やコンテンツがいまだに散見されます。しかし、「日本国内向けだから、大丈夫でしょ」では決して済まされないですし、もはや国内経済の拡大が見込まれない日本にとって、国外からの移民受け入れや国外マーケットへの進出は避けては通れない未来である以上、これまで以上にダイバーシティを意識すること、推進することは必須となってきています。
もちろんダイバーシティという概念が、人種だけに留まらず、性差別や障害者差別に関してもあてはまるのは、言うまでもでもありません。そしてこれは、もはや倫理的な問題で終わることなく、ビジネスとしても大切な要素になります。特に欧米では、受発注などの契約を結ぶ際、相手側の役員の性別や人種構成比などを条件に提示してくる企業もあるくらいなのです。今、その条件で国際契約をしようとした時に、日本の企業で対応できるのはどのくらいでしょうか。
パンデミックの影響で、国を文字通り閉鎖し、物理的に海外とのやりとりを制限している中、人口1億人を超える日本では、ひょっとしたら「鎖国しても国内だけでもやっていけるから、このままで良いのでは?」という考えを持つ人もいるかもしれません。数年間は、それでも成り立つかもしれないですね。けれども、製造、観光、売上比率を考えると、その選択肢では日本の未来は成り立ちません。
そしていざ、グローバル化を進めていこうとした時に最大の障壁になるのは、物理的な鎖国ということよりも、こういった社会問題に対する不理解や無関心という「価値観の鎖国」「心の鎖国」の方が大きいのかもしれません。
今回のパンデミックから人種差別抗議デモに至る一連の歴史的出来事の中で、私たちが突きつけられているのは、きっと私たち一人ひとりの知識と意識のアップデート、そして変化を実行する覚悟なのだと思います。
最後に、先日ソーシャルメディアで見つけた2020年を象徴する文章を紹介したいと思います。これは、Leslie Dwightという人が自身のSNSから投稿したもので、様々なメディアやSNSで使われた「2020 is cancelled. / 2020年は全部キャンセルされた。」というフレーズに対するアンチテーゼとして書かれました。
What if 2020 isn’t cancelled?
What if 2020 is the year we’ve been waiting for?
A year so uncomfortable, so painful, so scary, so raw — that it finally forces us to grow.
A year that screams so loud, finally awakening us from our ignorant slumber.
A year we finally accept the need for change.
Declare change. Work for change. Become the change.
A year we finally band together, instead of
pushing each other further apart.
2020 isn’t cancelled, but rather
the most important year of them all.
2020年はキャンセルなんてされてない、と考えよう。
2020年こそ、私たちが待ち望んでいた年だと。
不快で、辛くて、怖くて、生々しいこの一年が、私たちを否応なく成長させてくれる。
大声で叫び続けるこの一年が、無知で無関心な私たちを叩き起こしてくれる。
そしてこの一年が、とうとう変化を受け入れる時となるのだ。
変化を宣言しよう。変化のために動こう。変化そのものになるのだ。
もうお互いを押し合い、分断させるのではなく、ついに団結できる一年がやってきた。
2020年はキャンセルなんてされてない。
いやむしろ、これまで手にすることがなかった最も大切な一年になるのだ。
大丈夫。まだ2020年は、半分残っている。
そう自分に言い聞かせながら、私は今日も、ロサンゼルスでリモートワークを続けています。
連載開始当初に予定していたものとは、大きく内容が変わってしまいましたが、今回で私のコラムは終了となります。最後までありがとうございました。
またどこかの機会で、グローバルのクリエイティブ情報などをお伝えしていければ、と思っています。
Stay safe. Stay happy.
Go Sohara