急成長するデジタル音声広告市場 消費者との新しい接点
現在、国内におけるデジタル音声広告市場は年々増加しており、2020年は前年比229%の16億円となることが見込まれている(2020年3月デジタルインファクト調べ)。
2016年に日本上陸、音楽配信サービスを提供するSpotifyにおいても、その成長を実感しているという。「広告が入る無料プランのユーザーは2020年3月時点で世界1億6300万人と、前年同期比で32%増加。ユーザーの拡大に伴い、広告メディアとしての注目度が高まっている」(スポティファイジャパン・藤井哲尚氏)。
注目が高まっているデジタル音声広告だが、新しい広告フォーマットであるため、まだまだ価値の実証や認知の獲得を必要とする。そこで発足したのが「デジタル音声広告クリエイティブラボ」だ。
その内容は「音声で伝える新しいブランドコミュニケーション」をテーマに、デジタル音声広告に興味を持つクライアントと、新しくチャレンジしたいクリエイターを巻き込んで広告を制作し、効果を検証するという試み。今回はモンデリーズ・ジャパン、出光興産の2社のクライアント企業と、大日、フラッグ、ノースショア、Candee、オフィスニートがパートナーとして参画した。
2019年5月のラボ発足後、クライアント企業によるオリエンテーションののち、パートナーによるプレゼンテーションを実施。クライアントとクリエイターを結び付け、30秒間の音声CMを制作・配信し、効果測定を行った。
ラボの一連の活動が終了した2020年6月には、モンデリーズ・ジャパンと大日、出光興産とフラッグ、それぞれにスポティファイジャパンが加わり、振り返りの座談会を行った。
モンデリーズ・ジャパン×大日 「自分ゴト」に落とし込む工夫
モンデリーズ・ジャパンは、同社のガム「クロレッツ」について、若年層へのリーチを図りたいと考え、ラボへの参加を決めた。取締役・マーケティング本部の森繁弘氏は「Spotifyのユーザー像や使用シーンにガムとの親和性があり、特定のターゲット層に対してパーソナライゼーションを行える媒体として関心を持った」という。
数多くのラジオCMを手掛ける大日の鳥海義輝氏は、Spotifyならではのクリエイティブの工夫として「音楽を楽しんでいるユーザーに心地よく広告を聞いてもらうため、BGMや効果音の入り方、声の聞こえ方には気を配った」と話す。「ユーザーの共感を高めるために、具体的なシーンを想像させる工夫が大事」という。
森氏は「今は噛んでいないし今後も噛まないという層に対するアプローチが課題。年代やシーンを明確にターゲティングできる広告メディアだからこそ、ターゲット別により振り切ったコンテンツづくりもできそう」と話した。
出光興産×フラッグ あえてクセのあるクリエイティブを
映像・Web制作を専門とするフラッグは、音声広告はこれまで制作したことがなかった。出光興産広報部の太田知鶴氏は、選定の理由として「従来の手法にとらわれず、新しい目線で一緒に制作できると思った」と語る。同社ではすでに石油事業で多数のラジオCMを出稿しているが、今回テーマにしたのはBtoB事業のアグリバイオビジネス。その認知拡大をお題として提示した。
「既存のブランドイメージからは大きく離れず、かつデジタル音声広告の強みを生かせるものを目指した」(フラッグ・齋藤たつなり氏)。「桃太郎篇」では、左から桃太郎、右から鬼がやってくる。「家畜篇」では、華やかなEDMを包み込むように家畜たちが鳴きだす。立ち位置にもこだわったバイノーラル録音で、より没入感を与える工夫をしたという。
スポティファイジャパンの藤井氏は、「デジタル音声広告は、アーティストの皆様が魂を込めてつくっている音楽の合間に聴かれるもの。今回のようにクリエイターの方たちの発想力を生かし、つくり込まれたコンテンツであれば、広告であっても受け手にポジティブに捉えられるのではないかと思う」と述べた。
また従来のラジオ広告と違い、ターゲティング配信が可能で、その成果を数値で把握できる点もデジタル音声広告の強み。藤井氏は「一人ひとりに合わせてパーソナライズ可能なメディアなので、情報の伝え方やクリエイティブに幅があった方が、効果が得られると考えていた。ラボの活動を通じてその仮説を実証することができた」と話した。
実際の広告音源はこちらから視聴いただけます。
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