賞が獲れる広告こそ売上に貢献する? カンヌで出された広告効果に関する新たな提言

広告賞は広告主の視点でも意味があるもの カンヌで開催「広告効果」のセッション

©123RF

今年6月に実施されたカンヌ国際クリエイティブフェスティバルは、リアルでのイベントは中止になりましたが、そのかわりにオンラインで各種セッションを無料で視聴することができました。

なかでも私の目に留まったのが、クリエイティブの広告効果についてのセッションです。そのタイトルは「Cracking the Effectiveness Code」(広告効果のコードを解読する)で、カンヌにしては珍しい広告効果測定についての内容。広告効果について言及する、マーケティング・クリエイティブ領域のアワードと言えば、米国のエフィー賞や英国のIPAが授与するEffectiveness Awardが有名ですが、カンヌからこうした発信はこれまで、あまりなかった印象です。

セッションを担当するのはカンヌでCreative Effectiveness Awardの審査員も担当しているJames Hurman氏と英国IPAで広告効果に関する出版物を出しているコンサルタントのPeter Field氏で、ホワイトペーパーとしてもダウンロードできるようになっています。このセッションにはWARCというクレジットが付記されていましたが、WARCとはWorld Advertising Research Center(世界広告研究センター)という組織で、カンヌライオンズを運営しているASCENTIAL社が主催するグローバルで業界のマーケティングの効果やメディアの効果を研究している機関。WARC Prize for Asian Strategyをアジア圏内の優れたマーケティング効果を持つキャンペーンに授与しています。

そのWARCが広告効果という点において、Hurman氏とField氏の二人とともに提言したのは、「クリエイティビティが高いキャンペーンは、長期的にブランドに大きな利益をもたらす」という観点です。つまり、カンヌで表彰されるようなキャンペーンは、よく揶揄されるような業界の「賞獲り合戦」のお祭りではなく、広告主の視点で見ても意義のあるものだと主張しているのです。

次ページ 「広告主とエージェンシーのよくある議論「売上をとるか、クリエイティブをとるか」」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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