澤本さんの脚本は200分の超大作だった!?
中村:今回『一度死んでみた』の脚本を書かれた時、澤本さんは始めから監督は「はまちゃん」と決めていたんですか?
澤本:はまちゃんがやってくれるならいいな、と思っていましたけどね。
中村:脚本を見た時、はまちゃんはどんな感想だった?
浜崎:まだ実際台本になる前のプロットがあったんですよ。それが親子の話なんですよね。澤本さんは娘さんがいらっしゃるじゃないですか。僕も娘がいるんですよ。
中村:おー、なるほど。
浜崎:これよく分かるなぁ、面白くなるんじゃないかなぁってプロット段階で思ったんですよ。脚本の第1稿を読んだ時に、あーすごい澤本さんのやりたいこと満載だなって思ったんです。さすが澤本さんにしか書けない脚本の厚さだなって。そこが独特で面白いなぁって思って。まぁまず文字量が200何ページあったんですよ(笑)。200何ページって、200何分の映画になるんですよ。
中村:へえー!そうなんだ。
浜崎:だいたい1ページ1分っていう換算がオーソドックスで。だから200何ページあるってことは、だいだい3、4時間の映画になる(笑)。
中村:『ロード・オブ・ザ・リング』だ!
浜崎:(笑)。ほんと『ロード・オブ・ザ・リング』。超大作なんですよ!すごいなぁ澤本さん、大作だなぁと思って(笑)。
権八:ストーリーでいうと、どういうところがもっと多かった?
浜崎:いやもう全体的にすごかった!
澤本:たぶん僕らって入れちゃうじゃない。目指すのは100分って言われたんだけど、これ入るんじゃないかとすら思っていて……。
権八:あー!分かるその感じ(笑)!
中村:CMって15秒の中にけっこう詰め込んでやるから、その感覚だと、まぁ。
澤本:映画何作目だって感じだけど(笑)。書くたびに入るような感じになっちゃって。でもそれは長すぎるってなり、はまちゃんにいろいろとご調整いただいて……。
権八:それじゃ主にセリフをシェイプアップしていく感じ?場面も?
浜崎:場面もね。要は撮影日数が最終的に決まって、ここがケツですよって言われていて……。
権八:物理的なこともあるもんねー。
浜崎:そうなんですよ。これだとなぁと。ちょっと分量が多くて削った部分ももちろんある。
澤本:削った部分があってよかったですよ。この映画が素晴らしいのは90分で終わるからね。
浜崎:そうそうそう(笑)。90分目指してくれって、ずっとあったので。
権八:そっか、はじめ200分だったのを……。
浜崎:4時間コース(笑)。
中村:それまでにも長編映像は撮られていたんですか?
浜崎:いや撮ってないですよ。
中村:一番はじめの自主制作の映像とCMが中心?
浜崎:もちろんもちろん!ほとんどCMですから。そんな長尺撮ったことないです。
権八:そこなんですよ、ポイントがね。はまちゃんというと、あんまり映画撮りたいという印象がなくてね。
浜崎:うん、………ない?
権八:ないない(笑)。CMのエキスパートというか、スペシャリストみたいな感じがしていたんだけど、パッて無断で映画に行っちゃったから……。
浜崎:確かに(笑)。
権八:「映画やるんだ!」って思って。
浜崎:でも澤本さんだったからっていうのはもちろんあります。
権八:いつかは映画やりたいなと思っていたの?
浜崎:正直もう、なかなかないなぁって思っていたんですよ。普通にCMの仕事をやっていると、そういう仕事は入んないだろうなって思っていて。諦めてはいないんですけど、やりたいと思えどなかなか動き出せずいるというか……。そういう時に澤本さんが声かけてくださったから、すごくいいタイミングだなって思ったんですよね。
澤本:でも、はまちゃんがやってくれたから書けるセリフってあるわけ。はまちゃんだったらこう言わせるだろうなとか。滑りそうなセリフってあるじゃない?はまちゃんだと、たぶん滑らないなーというふうな計算ができて書けたから。
浜崎:澤本さんはセリフがホント面白いから!読み物としてちゃんと完成しているっていうか、あーなるほどな!っていうか。映像にしない方が面白いんじゃないかってぐらい。
一同:(笑)。
浜崎:やっぱり想像の方が面白いなっていうか、ページをめくるのが気になる感じがあって。セリフがやっぱり秀逸だから。
澤本:はまちゃんがやってくれると決まってから、すごく書きやすかったです。
浜崎:そうですか。
澤本:つい書きやすくて200ページ……。
一同:(笑)。
<後編につづく>