日本の映画は実は助監督がつくっている
権八:いわゆる映画畑の人たちが周りを固めているみたいな、そういうことではないの?
浜崎:ではないんですよ。カメラマンも近藤哲也さんっていうCMのカメラマンで、映画は初めての方。でもすごくよくて。
権八:助監督は?
浜崎:山下くんっていう、それこそ映画『クソ野郎と美しき世界』で監督された太田光さんのチーフ助監督をやられた方で。阪本順治さんなんかを担当されているチーフの方で、物腰が柔らかくて、すごく優秀でしたね。
権八:仕事は初めてだった?
浜崎:初めてです。まず僕は助監督を決めたいとプロデューサーに言って、会わせてほしいといったらすごく物腰柔らかい人が来て。
権八:CM系のディレクターが、いつも「助監督問題」を言うでしょ?
浜崎:そうそうそう。それを知っていたから……。
中村:それは助監督が映画畑の人で、CM出身のディレクターとうまくいかない……みたいなことがあるってことでしょ?
権八:……的なことをよく永井聡さんとかが言うじゃん?映画業界の奴らに手足をもがれたみたいな。
中村:「これだからCMさんはよー!」みたいな?
浜崎:そうそうそう。僕もそれなら絶対嫌だなと思って。でも意外と今回はそんなこともなく、山下くんがうまく仕切ってくれたのもあって。みんな言ってるじゃないですか、潰されたみたいな。
権八:よく分かんないんだけど。
浜崎:でもそうなる感じがすごく分かったんですよ。
権八:吉田大八さんもさ、その助監の人と罵倒し合いながら現場でよく喧嘩になるって言うんだけど、でも毎回その人を指名するの。
浜崎:(笑)。でも現場でイラッと思って言っちゃうことって、だいだい向こうの言うことが合っているんだよね、やっぱり経験があるから。「この時間でこれを撮り切らないとやばいよ」って言うんですけど、「まだこっち撮んないとダメだから進めないよ」っていうのでバトルになっちゃう。
あっちはあっちでちゃんと段取りを考えていて、「ここも大事じゃないの」っていうことをかなり言ってくるからそこでトラブルになるだけで。でも言われたことは合っていたなって思うことがかなり多いですよ。日本映画って監督は「よーいスタート」「カット」いうくらいで、助監督の人が本当に作品をつくっている感じがあって。ほとんど仕切ってくれるっていう安心感があるから、あの人たちがいないと絶対できない。
権八:ものすごく大事なんだ。
浜崎:すごく大事なんですよ。だから助監督の言うことをないがしろにできない。かなり重要な人です。