いよいよレジ袋有料化、各店舗の様子は?
昔取った杵柄でマーケティングを兼ねて、月に1回程度各コンビニチェーンでお手伝いをさせてもらっています。
コンビニは、子供からお年寄り、ジェンダーレスで日本に住んでいるほとんどの人が利用しているため、レジに入ると日本の空気感が分かります。マーケティングに携わる人間としては宝の山のような場所です。首都圏の店に入ることがほとんどですが、「近畿圏や地方でもレジに入ってみたいな」との欲望が近頃ヒシヒシと湧いています。
この連載では、日頃直面しているコンビニ業界の問題に対し、今実践している取り組みを実際の店舗取材を経て、紹介していきます。世代問わず、誰もが利用し、インフラとなっているコンビニは、日本がこれから抱えることになるであろう問題が最初に露呈する場所です。あなたの「社会課題解決」のヒントとなれば嬉しいです。
さて、7月1日からレジ袋有料化となりました。私は脱プラスチックの観点から賛成なのですが、展開前各チェーンの仲良いオーナーの方々と議論すると、接客トラブルが多発するのでは無いかと戦々恐々な状況でした。しかしながら杞憂に終わり、一部クレーマーへの対応を除き大きな混乱無くスタートしました。国の方針ということで、顧客も一定の理解を示していると見受けられます。
有料化から1週間後の複数コンビニの状況をヒアリングすると、レジ袋を購入する顧客は、全体の20〜30%程度。弁当や調理麺など中食で、マイバックに入れづらく、温めが必要な商品の場合は購入率が半分程度になっていて、今後この数値がレジ袋購入者ベースとなり、脱プラスチック意識改革が進んでいくのでしょう。
また、コロナ禍では外食の持ち帰りが始まり、コンビニでは、できたてのカウンターファーストフードが対抗の武器と言われていましたが、マイバックには温かいものを入れたく無いとの顧客が一部いるようでカウンターファーストフードの売上に陰りが出ている店が一部あり、悩ましい状況になっています。
マイバック顧客は自分のマイバックに入る容量以上の物は買わない。手で持って帰りたい顧客は買い上げ点数を2・3点以下に絞るなど客単価ダウンする懸念も持たれています。従業員側から見るとコロナ禍ということもあり、汚れたマイバックの袋入れに抵抗のあるという話も聞きます。レジ袋有料化については、課題も明確になっているため、接客など各店舗で試行錯誤が続き“型”が決まっていくことでしょう。
100円ショップやコンビニのビニール傘の購入、コンビニで無料配布されている割り箸・ストロー・お手拭きなど、日本では使い捨て感覚による便利さが根付いています。日本の言葉である『MOTTAINAI』をケニアの環境活動家ワンガリ・マータイが世界に広めていますが、レジ袋の有料化はその相反する行動を見直す大きなきっかけになるのかもしれません。