「クソ親父死ね!」のセリフは気持ちよかった(笑)
中村:初めて『一度死んでみた』の脚本を見たときはどう思ったんですか?
広瀬:こういうファンキーな役をずっとやりたかったんですよ。だから「やっとだ~!」みたいな気持ちでした。
中村:「女子大生かつデスメタルバンドのボーカル役」という。
広瀬:そうですね。「大学生だったんだ」って今思うくらい(笑)。大学生要素無いですね。
澤本:学生シーンないもんね(笑)。
広瀬:一応年齢設定としてある感じです(笑)。
権八:脚本は面白かったですか?
広瀬:面白かったです。私が演じる七瀬っていう女の子は、ファンキーで攻撃的な言葉や行動ばっかりしてるんです。いまだに取材を受けても「すごい意外でした!」って言われるんですけど、私の根性や心の奥底には、たぶんどこか七瀬の要素がある人間で、そこを「この作品で引っ張り出してもらったな」っていう思いがすごくあります。
脚本は「もう終わり?」っていうくらい、あっという間に読んでしまいました。でも、映像になるとすごくいろんな人が出てくるじゃないですか(笑)。ちょっとしたシーンでも脚本に無い全然知らないシーンができてるので、読むのと観るので違い過ぎてて、結構びっくりしました。
権八:確かに画面の情報量多いかもしれないですね。「えっあの人も出てるの?この人も?」みたいな。
中村:常にリッチな人が出てる。
権八:すごい人がいっぱい出てるもんね。キャストはもうほぼ公表されてるんですよね?でもこの公式パンフレットにも載ってない人も結構出てるよね。
澤本:ワンシーンしかなくても「この人がここで一言やってくれないと」っていう人がいるわけですよ。だからそのあたりは前も話したけど、CMで「一言言うだけですごい効く」っていうのを学んでるから、「映画でそれ使ってやってみようかな」って思って。
権八:なるほど、なるほど。他人事ながら、キャストをめちゃくちゃ贅沢な使い方してるよね。「こんな贅沢な使い方していいの?」みたいな(笑)。ほんとワンシーンだけとか。
澤本:すずちゃんには、髪型とか髪の色変えてもらったりしてるんですけど、僕、最初監督にはここまでは言ってないんですよ。監督には「こういう風な役柄で」とだけ言って「こうなりました」って写真見たら、「ああ?!」と思って。「ここまですずちゃんやってくれるんだ」って思いましたね。最初の撮影のときに寄らせていただいたんだけど、すずちゃんに「髪の毛こんなんなってごめんね」って感じのことを言ったら「全然、慣れてます」って。慣れてるっていうか見慣れてるみたいな、「私、本当はこういう人です」みたいなことを言ってたので「意外とそうなんだな」と思って見てました。
広瀬:意外とそうなんです(笑)。
澤本:「意外とこっち系です」って言われて、「ええ!」って思って。
中村:赤染めデスメタル系ですか?
澤本:赤染めなのかな?
広瀬:劇中だとピンクですね。
権八:どの辺ぐらいまで、自分としては違和感なく行けた感じですか?このファンキーというかパンキッシュなルックスというのは。
広瀬:日常的に舌打ちをしたり、セリフの中に「クソ親父死ね!」「死んじまえ!」とかそういう単語ばっかりあったので。別に父に言ったことはないですけど、変にちょっと気持ちよかったし……。
中村:あはは!(笑)
広瀬:なんか「フォー!」みたいな(笑)。バイト先に行くにも紫のジャージを履いて行ったり、家の中でも全身黄色のジャージだったりで、ガラ悪いわけじゃないけど、ちょっとピュアな部分がありながら「ちょっとだけやさぐれたいな」っていう。でもグレてるとはちょっと違う。そこの境目が結構難しかったです。
権八:さっき澤本さんも言っていて、劇中にもそういう言い方出てくるけど、グレてるというか「こじらせてる」みたいな言い方するじゃない。うまく表現してたと思うけどな~。
広瀬:「『こじらせてる』って何なんだろう」って深く考えちゃってて。私の分かりやすい考えが「グレてはない。けど、反発精神からこういう姿になってる」っていう。それが「こじらせてる」ってことなのかもしれないんですけど。
権八:でもそういうことですよね。
澤本:そうですね。文字より確実なことをすずちゃんが規定してくれているから、ものすごくありがたかったけどね。