自分の中のファンキーな要素を澤本さんが引っ張り出してくれた(ゲスト:広瀬すず)【前編】

娘がいる父親なら全員キュンキュンするはず!?

中村:逆に脚本見た時に「難しい」とか「どう演じよっかな」みたいな部分はありました?もちろんコメディだからっていうのもそうだし、あと、初めは「この野郎!クソ親父!」とか言ってた主人公の気持ちが、いろんな事件をきっかけにだんだんちょっとずつ変わっていく、みたいな心情も描かなきゃいけないじゃないですか。

広瀬:そこですね、一番難しかったのは。周りがふざけ倒したりとか、自由にお芝居されてる中で、例えば吉沢くんとの会話のシーンで、お互いに言い合いながら不意に七瀬のピュアな、娘の顔になるというか。お父さんを不意に思っちゃう瞬間がところどころに垣間見えるんです。そこをどう表現したらいいのか、どこまで出したらいいのか、一気にそっちに持っていきすぎると「どっちがスベってる?」みたいになるし。そういうバランス感が難しかったですかね。

権八:なるほど。でもそれも見事でしたよね。いい塩梅だった、さじ加減的に。

中村:くわしくは言えないけどいい塩梅でしたね。

広瀬:観てて違和感がなかったらそれはそれでいいことなのかなと思って。

権八:その辺の、ちょっとずつそういうピュアさが漏れてきてしまうというか。その感じが、子どもがいるお父さんからしたらキュンキュン来るわけですよ(笑)。本当に。

中村:すごいね、自分に重ねますね。娘がいる父親は、全員この映画を見たら共感してしまう。

権八:そうなんですよ。作者が今いないんで言いますけど、作者のご自身の娘への愛みたいなものを感じてしまう。あ、いた!(笑)。そういうのを感じて、途中から僕はダメでしたね。ガー(涙)、ダー(涙)。極論すると、澤本さんから娘さんたちへの遺言なんじゃないか、と。

澤本:ずーっとね、遺言だった(笑)。

<後半につづく>

※10月7日『一度死んでみた』Blu-ray&DVD発売決定。予約受付中。

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