テクノロジーとデザインで日本のD2Cブランドを支援するブランディングエージェンシーフラクタ。今の時代に求められるデジタル戦略をフラクタ 代表取締役 河野貴伸氏とブルーボトルコーヒージャパン President Asia 井川沙紀氏、そしてEC構築メンバーが語る。
ブルーボトルコーヒー 公式オンラインストア:https://store.bluebottlecoffee.jp/
明日、明後日の「アップデート」が求められる時代
河野:ここ数カ月で世の中が大きく変わりました。ブルーボトルコーヒーでも変化を感じられていますか。
井川:そうですね。コロナ禍で多くの方が「何にお金を払うか」をシビアに考えるようになったと感じています。同時に「この会社をサポートしたいから応援する」という動きも活発になりました。その状況でブルーボトルコーヒーが「応援したい」と思われるブランドであり続けるために何をすべきか、最近よく話し合っています。
河野:ブルーボトルコーヒーは、来ると安心する、落ち着く場所。だから、ブランドとして好きになり、応援したいと感じるのかもしれません。お客さまとのつながりは、どのように意識されていますか。
井川:私たちは、創業当初から社内で「スペシャルティコーヒーをブームから文化へ」というテーマを掲げていますが、今それを改めて問われています。店舗がある地域やコミュニティに溶け込み、共存していくためには、時代に合わせて進化し続けることが求められる。その地域のための空間やサービス、環境設計とは何か、これまで以上に意識するようになりました。
河野:地域やコミュニティが大切なのはこれからも変わらないと思います。ただ、コロナで強制的にデジタルに振り切らないといけない状況が生まれました。僕はアフターコロナの変化の激しい世界では、「アップデートできるか」がポイントになると考えています。10年間同じコミュニケーションを続けるのではなく、明日、明後日の単位でPDCAを回していく。その点、ブルーボトルコーヒーさんはブランドとして、柔軟にアップデートをされている印象です。
井川:私たちにとってのアップデートの1つが自社ECの新設です。今回目指したのは、単なるショッピングプラットフォームではなく、ブランドが大事にしてきたキーワード、例えばオーガニックといった製法や素材に対するこだわり、豆(種子)からカップまで一貫して管理する「シードトゥカップ」という考え方、そして生産者の顔を紹介する。そういう、私たちの想いに緩く共感してくれる方々が集まるWeb上でのコミュニティづくりです。ブランドへの共感からブルーボトルコーヒーをコーヒーブランドとして選ぶ、きっかけをつくっていけたらと考えています。
自走できるプラットフォームづくり
鎌田:EC構築の目的は、大きく3つあります。1つが、ブルーボトルコーヒーが持つ世界観をカフェだけではなくECでも表現すること。2つ目は、一度買っていただいたら終わりではなく、お客さまにECを通して長くファンでいてもらうこと。3つ目は、オフラインとオンラインをうまく連携することでした。複数の企業さまからプレゼンを受け、今回フラクタさんにお仕事をお願いすることになったのは、「柔軟に取り組んでくれそう」と感じたから。方針が変わったときに「要件定義をしたからそのまま進めるしかない」と言われてしまうと難しい。あとはフラクタさんが提唱されている「自走できるプラットフォームをつくる」ということも私たちが大事にしたかったところです。完成後は、自分たちで主体的に運用し、日々アップデートされるブランドの想いを自ら発信できるECにしたいと思っていました。
橋本:私たちが目指すのは、完成後も依頼し続けてもらうのではなく、クライアントの皆さんに自走していただけるプラットフォームです。ドライな意味ではなく、しっかりと自走できるようにノウハウを提供しながら、ECを実際に運用して得られる情報は共有してもらう。そうしてお互いに情報をブラッシュアップしながら、切磋琢磨して高め合えるお付き合いを続けたいと思っています。
鎌田:今回のEC構築でも多くの企業を担当している知見から、プラットフォームやEC業界全体の情報を教えていただきました。他社の事例をもとにいくつかオプションを提示していただいて、その中から選択することで、スムーズに進行できたと思います。
ECをブランドの世界観を体験できる場所に
飯尾:構築では、ECプラットフォームの「Shopify」を使用しています。最初にブランドのデザインガイドラインを確認し、それを参考にしています。大切にされている世界観を投影し、3つの目的をいかに実現するか意識しました。
鎌田:当社が大切にしているのはミニマルかつ温かみのあるデザイン。お客さまがコーヒーに集中できる環境づくりです。オンラインでは既にモールに出店していますが、モールは制約があり自分たちの世界観を表現することは難しい。自社ECでは大切にしている世界観をデザインにしっかりと落とし込んでもらいました。
飯尾:そこは細かいところまで意識しましたね。トップページだけではなく、商品詳細ページなど細部まで徹底してこだわり抜いてデザインをすることができたと思います。
橋本:そのほかには、店舗で大事にされている「体験」をどうECで表現するか、という課題がありました。そこで、リアルイベントで実施されているファーマーズマーケットをオンラインで実現したり、リアルの世界観をオンライン上で表現したりするお手伝いもさせていただきました。
鎌田:夏ごろからは、ECが本格公開されます。お客さまに対してインセンティブを提供するメンバーシッププログラムも同時にスタートする予定です。
井川:ECサイトができたことで、オフラインとオンライン、両方からブランドの想いを発信することができるようになりました。語ることは多いブランドなのでそれをどう表現し、どう伝えるか。店舗、EC、オンライン・オフラインのイベントなど、さまざまな接点でブルーボトルコーヒーが大事にしていることを伝え、コミュニティを育てていきたいですね。
河野:井川さんが大切にされている「緩いコミュニティをいかにつくるか」は、今後も大切にしていきたいです。ブランドの空気感を表現するのはすごく難しいですが、トライ&エラーを繰り返してそれを実現することが我々のミッションです。その結果、ECを通してブルーボトルコーヒーを取り巻く緩いコミュニティができて、多くの人が集まるようになったら一番幸せですね。
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