訃報:TUGBOAT 岡康道さん、ご冥福をお祈りします

TUGBOAT代表であるクリエイティブディレクター 岡康道氏が、2020年7月31日に多臓器不全のため逝去した。享年63歳。

岡氏は、1956年佐賀県嬉野市生まれ。都立小石川高校を経て、1980年早稲田大学法学部卒業。同年電通に入社、営業局に配属となった。転局試験を受けて、1985年にクリエーティブ局へ異動。1987年に31歳でTCC新人賞を受賞。1998年に42歳で電通CR局のクリエーティブディレクターとなる。

電通ではCMプランナー、クリエーティブディレクターとして、東日本旅客鉄道「その先の日本へ」「東北大陸から」、サントリー「リザーブ友の会」「モルツ球団」「BOSS 漂流」、トヨタ自動車「コロナ氏」、フジテレビ「フジテレビが、いるよ。」、東京デジタルホン「J-PHONE」など、時代を代表するキャンペーンを数多く手がけた。

1999年7月、川口清勝氏、多田琢氏、麻生哲朗氏と共に、「TUGBOAT」を設立した。岡氏は以前に月刊『ブレーン』のインタビューでTUGBOATを「物語」に例え、「最初の4人が第1章。だからここは触れられないし、変えちゃいけない部分」と話している。

「TUGBOAT」は従来の広告会社のようにメディアコミッションをとらず、企画・制作を専門としてクリエーティブ・フィーだけで成立するべく、日本初となるクリエイティブエージェンシーとしてスタート。以降、TUGBOATに追随し、これまでの広告会社とは違う在り方、クリエイティブを追求するクリエイティブエージェンシーが日本に次々と誕生した。

TUGBOATで岡氏はクリエイティブディレクター、CMプランナーとして数多くの仕事を手がけた。

これまでの仕事に、サントリー「南アルプスの天然水」「DAKARA」「ペプシ桃太郎」、セガ・エンタープライセス「企業広告 湯川専務」、富士ゼロックス「企業広告」、富士フイルム「企業広告」、東日本旅客鉄道「トレイング」「大人の休日倶楽部」「JR SKI SKI」、湖池屋「コイケ先生」、フジテレビジョン「私を笑え。」、トライグループ「家庭教師のトライ 父の夢」、ゼロ「プロバイダーゼロ」、日本テレコム「J-PHONE」、大塚製薬「カロリーメイト ワカゾー」、積水化学工業「セキスイハイム」、大和証券グループ「グループ企業広告」、大和ハウス工業「企業広告」「xevoΣ」、東日本電信電話「企業広告365日」「おまかせデータレスPC」、NTTコミュニケーションズ「OCN」、NTTドコモ「ドコモ2.0」、「企業/ひとりと、ひとつ。」、「企業/Style’20」、日清食品「ラ王」、ライフカード「カードの切り方が人生だ」、住友生命保険「1UP」「dear my family」、日本中央競馬会、資生堂「企業広告」、トヨタ自動車「VOXY」「ハリアー H.H」、Sansan「企業広告 面識あり」、サッポロビール「黒ラベル 大人エレベーター」、全国都道府県及び全指定都市「LOTO」、ダイハツ工業「ムーブキャンバス」など。

これらの仕事で、クリエーター・オブ・ザ・イヤー、アジア太平洋広告祭金賞・銀賞、ADC賞、TCC最高賞、ACCグランプリほか多数受賞している。

TUGBOATの仕事の多くは、岡氏を中心に長きにわたるクライアントとのパートナーシップから生まれており、映像のクオリティの高さ、何気ない日常を映しだしたものから時代の先陣を切る表現まで、多様なクリエイティブは常に注目を集めた。

岡氏は仕事と並行して、かつてタッチフットボールの社会人チーム「東京リベンジャーズ」の主将を務め、チームを6度の全国大会優勝に導き、2回のMVPを獲得している。

また、誰に対しても誠実に向き合う岡氏の人柄は、若手からベテランまで多くのクリエイターや広告関係者に愛された。

著書に、『ブランド』『ブランドII』(共著・宣伝会議)、『CM』(共著・宣伝会議)、『アイデアの直前 —タグボート岡康道の昨日・今日・明日』(河出書房新社)、小説『夏の果て』(小学館)、『人生の諸問題 五十路越え』(共著・日経BP)、『広告と超私的スポーツ噺』(玄光社)など。

通夜および葬儀は遺族の意向、および新型コロナウィルス感染拡大防止を踏まえ、家族で執り行われた。後日、偲ぶ会の開催を予定している。

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