日本の食品ロスの約5%、コンビニ廃棄解決はSDGs達成の一丁目一番地!?

食品ロス改善、コンビニ大手3社の現状は?

また、コンビニでは弁当を常温からチルドへの品揃えにシフトしています。チルド弁当は常温と比較して販売期限が2~3日長いため、廃棄が出づらいのです。また、惣菜も真空チルドパックのタイプとなり、商品によりますが、賞味期限が2週間から1カ月程度と長くなっています。コロナ禍では、備蓄ストック需要で冷凍食品が前年比120%と伸長していますが、冷凍食品は1年近い賞味期限があり、廃棄が出る事はほぼありません。もしすべての中食を冷凍食品にすれば、ほぼ廃棄は出ないことになります。……顧客の需要としては非現実的ですが。

セブン-イレブンでは平台の冷凍食品ケースをいち早く導入し、現状は2台導入する店舗もあり、他社に先駆けて売場を確保するとともに、商品開発も強化しています。経済産業省の指導前からコンビニ各社は商品や売場開発の努力により、食品ロスの改善も進めていたのです。

コロナ禍での備蓄ストック需要増加は、廃棄削減の追い風に。

ファミリーマートでは、クリスマスケーキ、おせち、恵方巻、土用の丑の鰻重の「予約販売」に絞り、当日販売を基本取りやめる取り組みにより、食品ロスを減らすとともに利益改善を実施しています。

千葉県市川市にある冷蔵品配送センターまで運ばれる廃棄食品。(画像提供:ローソン)

ローソンでは、食品ロスのリサイクルを東京都中央区などの3店舗で千葉県市川市にある冷蔵品配送センターまで廃棄となった食品を持ち帰り、採卵鶏の飼料にするという実証実験を2019年8月に実施しました。

ゴミの処理や運搬には規制があり、特例での対応となっています。リサイクルは、法整備とかかるコスト面など課題は多いですが、実験から本格展開の道筋が出来ていく事を期待したいです。

SDGsのコンビニ各社の取り組みの一丁目一番地は、食品ロスの削減と言っても過言ではありません。今後もトライ&エラーで様々な施策が進化していくことでしょう。買い物をする消費者としても、牛乳など古い賞味期限の商品を買わず新しい商品の棚の奥から取るなどの意識を変えていく事が重要です。そんな個人の小さな意識改革が、食品ロス削減に向けた大きな力になっていくのです。また、その意識改革を促すコンビニ側のコミュニケーションも見直す必要が出てくるでしょう。

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渡辺 広明(マーケティングアナリスト やらまいかマーケティング 代表取締役社長)
渡辺 広明(マーケティングアナリスト やらまいかマーケティング 代表取締役社長)

静岡県出身。大学卒業後の1990年ローソンに入社。横浜地区の店舗で店長を務めた後、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケターとして7年間従事。その間に約600種類の商品開発を手掛ける。2012年からpdcで2年間勤務。その後TBCグループのインセルを経て2019年3月より現職。フジテレビ『ホンマでっか!TV』やNHKラジオ『すっぴん』フジテレビ『Live News α』など、流通ジャーナリストとして各種メディアで活動。近著に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)。

渡辺 広明(マーケティングアナリスト やらまいかマーケティング 代表取締役社長)

静岡県出身。大学卒業後の1990年ローソンに入社。横浜地区の店舗で店長を務めた後、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケターとして7年間従事。その間に約600種類の商品開発を手掛ける。2012年からpdcで2年間勤務。その後TBCグループのインセルを経て2019年3月より現職。フジテレビ『ホンマでっか!TV』やNHKラジオ『すっぴん』フジテレビ『Live News α』など、流通ジャーナリストとして各種メディアで活動。近著に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)。

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