ブランドの教科書に載っている戦略論では、ブランドはつくれません!
「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論(実践編)」第7回のテーマは、ずばり「ブランド戦略」です。
私がこれまで実務者としてブランドづくりに取り組み、わかったことは「ブランドの教科書に書いてあるブランド戦略は、机上の空論なので使えない」ということです。そして使える戦略がないまま、小手先の戦術だけでブランドをつくろうとしてしまう。このことが、実務者がブランドをつくれない大きな要因となっています。
今回は、実務者にとっての実践的なブランド戦略について説明します。
再確認すべきは、やっぱりブランドの「定義」と「目的」
ブランド戦略をつくる際に、まず最初にやるべきはブランドの定義を再確認することです。定義があいまいだったり、間違っているとブランド戦略もつくれません。この連載で詳述してきましたが、実務者にとってのブランド定義とは『(ブランドを)思い出すきっかけになるものに出会ったときに(→知っていることに気づき→)その瞬間に頭の中になんとなく自然に浮かんだ勝手なイメージ』です。
この頭の中に何となく浮かんだイメージを、あえて一言で表現すると「妄想」になります。つまりブランドとは生活者の頭の中にある「妄想(イメージ)」であり、「約束」や「差別化」などではありません(※詳細は本連載の前篇である「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」をご覧ください)。
これまでの連載の中で、私はブランドを5段階のレベル(価値)に分類しました。
企業・商品が生活者から「知っている」状態(レベル)になれば、その企業・商品はブランドになったと言えます。この「知っている」レベルから始まり、「嫌いではない」レベルへ、さらには最終的には「なんとなく好き」になることを目指していきます。
ブランドづくりの目的は、お金を儲けることです。「知っている」だけでもお金儲けはできますが、「知っている」から「なんとなく好き」に至ること、つまりブランドのレベルが上がることで、よりお金儲けができるようになるのです。
すなわち、実務者のブランドづくりの究極の目的は、「あなたの企業・商品を世界中の人がなんとなく好きなレベル」にまで引き上げることで「あなたの企業・商品のお金儲けを最大化」することとなります。