「企業広報大賞」にユニ・チャーム、タブー視されがちだったテーマを広く浸透

経済広報センターは8月4日、「第36回企業広報賞」の受賞社(者)を発表した。本賞では毎年、企業広報を実践している企業や経営者、企業広報の実務者を顕彰しており、今年は「ユニ・チャーム」が大賞を受賞した。昨年度は、同社代表取締役社長執行役員の高原豪久氏が「企業広報経営者賞」に選出されている。

同社は、女性のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を2019年度目標に掲げ、世の中へ問題提起をする全社的なプロジェクトを始動。「女性が生理を隠さなくてよい社会をつくる」というメッセージ性が強く社会に受け入れられ、多くのメディアにも取り上げられた。インフルエンサーを活用したSNSを中心とする広報活動、ユーザーを巻き込んだ商品パッケージのデザイン開発など既存の枠にとらわれない活動で、メディアでタブー視されがちだった同テーマを広く社会に認知させたことが評価された。

 

「企業広報経営者賞」には、「キリンホールディングス」の磯崎功典代表取締役社長と「エステー」の鈴木貴子取締役兼代表執行役社長が選出。

キリンホールディングスの磯崎社長は広報部門出身。社長就任以降、厳しい経営状況の中でトップ自らの説明責任を果たしてきた。ステークホルダーに応じて発信の表現を変えるなど、それぞれのターゲットから共感を得られるようなストーリーで語り掛ける真摯な姿勢が評価され、受賞につながった。

エステーの鈴木社長は、男性中心の画一的な組織の常識を打ち破るための風土改革で企業ブランド力向上に寄与したこと、「空気ビジネス総合グループに脱皮する」というビジョンと信念を自らの言葉で語り掛けてきたことが受賞の理由として挙げられた。

「企業広報功労・奨励賞」を受賞したのは、資生堂社会価値創造本部アート&ヘリテージ室長の上岡典彦氏と丸紅理事の島﨑豊氏。

資生堂の上岡氏は20年以上にわたり、自社だけでなく企業広報全体の発展に貢献した。社内で同社PR誌『花椿』の編集長を務めたほか、広報人材の育成にも尽力。その丁寧な取材対応は社外からの評価も高く、特に地方紙へのきめ細かな対応で地域密着型の広報活動を展開し、各地域のステークホルダーとのコミュニケーションを向上させた点が評価された。

丸紅の島﨑氏は広報担当者としての12年の経験、そして広報部長と秘書部長を兼務していた強みを活かし、経営メッセージの浸透やグループ会社役員・社員との情報共有を高め、グループ全体の士気高揚を実現した。近年は、インターナルコミュニケーションに注力。社員の意見を経営にフィードバックする仕組みを構築しており、その点も高く評価された。

本賞の選考委員には『プレジデント』編集長の小倉 健一氏、読売新聞東京本社 経済部長 是枝 智氏、TBSテレビ 経済部長 竹内 紀一郎氏、日本経済新聞東京本社 経済部長 藤井 一明氏、朝日新聞東京本社 経済部長 寺光 太郎氏、『日経ビジネス』編集長 東 昌樹氏、毎日新聞東京本社 経済部長 平地 修氏、シンクタンク・ソフィアバンク 代表 藤沢 久美氏が参加している。

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