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「広告が見られない時代」の お金を払ってでも見たい広告とは?
『ブランデッドエンターテイメント お金を払ってでも見たい広告』
広告が見られない時代。しかし、そんな時代にお金を払ってでも見たい広告が存在する−−。それが「ブランデッドエンターテイメント」であり、Netflixなどで人々が有料コンテンツを視聴する時代の広告の進化形だと本書は説きます。
原書は、『The Art of Branded Entertainment』(英Peter Owen出版、2018年出版)。2017年カンヌライオンズのブランデッドエンターテイメント部門の審査員長 PJ.ペレイラが、審査員15人に声がけし共同執筆した書籍です。
日本語版の監修・翻訳を手がけたのは、この本の筆者の1人であり、STORIES CEOの鈴木智也氏。
ブランデッドエンターテイメントとは、つまり「ブランドがプロデュースするエンターテイメント」のこと。文中では、カンヌ受賞作を中心に事例が豊富に紹介され、従来の広告制作体制との違いなど、舞台裏のストーリーも明かされます。
15人の著者(審査員)はクリエイティブエージェンシー/クライアントのCMO/タレントエージェンシー/スポーツマーケティング会社/映像制作会社/テレビプロダクションなどとバラエティに富んだ顔ぶれで、それが、この本が描き出すブランデッドエンターテイメントの姿に厚みを与えています。
発売と同時に、本に登場する事例の動画をまとめて視聴できるサイトも公開される予定です。本書と合わせて見ることで、「ブランデッドエンターテイメント」の魅力とポテンシャルを十二分に体感できるはずです。
「ニューノーマル時代」にも対応した、グローバルトレンド最新調査データ
「FUTURE 100」
The Future 100はWunderman Thompson Intelligenceが中心となり、毎年発表しているグローバル・トレンドレポートです。
10カテゴリー・100項目にわたり、未来の萌芽を感じさせる最新トレンドが解説されています。本年は、コロナウイルス感染症の流行を受け、2020年版のレポートに加え、コロナの流行によって急速に発展した20のトレンド、そしてニューノーマルに順応して⽣まれた5つのトレンドも網羅し、「The Future 100 2.0.20」として発表されました。
・アメリカの18歳から24歳までの若い世代は、X世代や団塊世代に⽐べて5倍もの不安を抱えている。
・ブランドの社会的な責任がより強く求められるようになり、多くのブランドは、利益よりも⼤義のために協⼒したり、⽣産を全⾯的に刷新するなどの取り組みを行っている。
など、世界的なロックダウンが人々の価値観にもたらした変化が、気鋭の調査チームによってまとめられています。グローバルな視点で消費者の変化をとらえ、ブランドの次なる行動を考えるための指針として活用することができます。
日本語版は宣伝会議オンライン上で6月26日に発売されました。試し読みも可能です。
外部CDから企業内アドバイザーへ。クリエイターの立ち位置の変化の最前線。
『恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』(小霜和也著)
世界的なクリエイティブディレクター、ジョン・C・ジェイがユニクロのクリエイティブ統括に就任したというニュースが広告界をざわつかせたのは2015年のこと。
クライアントに外部から“提案”を行ってきたクリエイターたちが企業の中に入り、共に戦略を考え、実行するポジションを取る動きは近年確実に広まりつつあります。
今年1月に発行された本書は、自身も企業内アドバイザーとしての依頼が増えているクリエイティブディレクター/コピーライターの小霜和也氏が、社長(経営者)に向け、その体制を本当に機能させるために必要なマーケティングの知識を解くもの。
一口にマーケティングの知識と言っても、
・自社のマーケティングの全体像の描き方
→ミドル・ファネルを中心としたマーケティングのフルファネル化(全体像の中にテレビCMとWeb広告をどう組み込むか)
・社長が把握すべき「トータルCPA」
→部門「間」に着目することで、全体予算の最適化を実現する
・広告主とエージェンシーの関係性と、現場で起こっている問題
→各プレイヤーの役割と現状、エージェンシーや制作スタッフの行動原理と、起きがちなボタンの掛け違い
などなど、川上の思考法から現場で起きる問題への対処法まで、長年の経験をもとにした著者ならではのアドバイスがふんだんに詰め込まれています。経営者向けの本という形式になっていますが、経営者と共通言語を持ちたいクリエイターにとっても、知っておくべき内容と言えるでしょう。