「広瀬すずと親しげなアイツ、誰だ?」 邦画ランク1位の撮影裏話(ゲスト:グランジ 遠山大輔)【後編】

出演者も観客もみんなで楽しめる映画になった

澤本:でも、ああいうお祭りみたいなのもいいなって思うんですよね。素晴らしいストーリーがあって、というのもいいけど。全体通じて、ずっと文化祭みたいな感じで。

遠山:それ、澤本さんのアイデアなんですか?

澤本:アイデアというか、CMとか、一瞬だけ出てちょっと笑かした人の勝ちだったりするじゃないですか。そういうのを映画でやってみたらどうかなって思ってやっていたんだけど、出し過ぎたなって。

中村:役者はアテ書き(俳優を想定して脚本を書くこと)というか、「この人出てくれたら嬉しいな」ということでやっていたんですか?

澤本:そうですね。例えば西野さんは少しだけのシーンだけど、セリフ的にキツイセリフを言ってもらっているわけですよ。火葬場でのセリフとしては。「普通この社員は言わないな」っていうセリフを言うんだけど、西野さんが言っていれば聞けるというんですかね。そういうふうに、出る秒数とセリフの強さというのは考えていましたね。

遠山:なるほど。

澤本:あと佐藤健先生は出るときに、「どういう風にしたらいいですかね」って、相談したの。

遠山:役は決まっている状態ですか。

澤本:時間があったから、「もっと健君とやりとりがあるようにしよう」とか、「もっと役を持たせよう」と思ったら、「いや、今回は絶対に瞬間出て、消えた方が良い」って。自分でおっしゃって、あれなのよ。

遠山:へ~。そうなんだ。カッコイイですね。

澤本:ほぼセリフもないじゃないですか。

遠山:そうですね。本当に一瞬ですよね。横顔が映るくらいでした。

澤本:ストーリーには絶対に絡みたくないと言っていて。だから、すごいなって思ってさ。

中村:神の視座ですね。もはやね。

澤本:そうそう。全体のクリエイティブディレクターみたいな感じ。

遠山:でも、そうやってつながっている澤本さんが、本当にすごいなって思います。

澤本:いやいや、そんな。

遠山:「それでもいいから出ますよ」って言ってくれる人が、あんなにいるっていうことじゃないですか。

澤本:それはありがたかったね。

遠山:それで楽しそうだったもん。

澤本:そうそう。やっぱり、みんな楽しんでくれてはいたでしょ。台本送ったときに、「これ、出たい」と言ってくれた人が多くて。それは、やっぱり楽しそうだからだと思うんだよ。Twitter見ていても、「バカらしい」とか、「ふざけている」というコメントが多いわけですよ。

遠山:それは、いい意味で、ですか。

澤本:まあ、いい意味だと思いますよね。「あまりにバカげている」とか……。でも、そういうようなものを目標にしていますって言っているからね。まあ嬉しいですね。

遠山:いいよな。何にも考えずに楽しめるって。

澤本:「何にも考えずに楽しめる」人たちばかりだから。「えっ、何にも考えなかったのか」と。

遠山:難しいものあるじゃないですか。「何でここのメッセージ気づいてくれないんだよ」とか……。音楽でも映画でも色んなものがあると思うんですけど、僕は結構苦手なんですよ。読解力あまりない方なんで。

澤本:そんなこともないだろうけど。

遠山:いやいや。でも、見ていて何にも考えずに楽しむことができたし、緊張も全然しなかったんで。身構えることも一切なかったですし。たぶん僕と同じ回で見たみんなも同じ気持ちだったと思うんですよ。エンドロールが終わった後、電気がついた瞬間、みんなしゃべりはじめたんですよ。

中村:へ~。それは良いシーンですね。

遠山:帰る支度しながら、みんなガヤガヤってなって。こんなシーンもあんまり見たことないなと思って、それも素晴らしいなと。

次ページ 「遠山大輔、今後のキャリアについて」へ続く

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